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消えゆく戦後の市場を高校生が撮影-大黒市場でシャッター写真展

閉店したシャッターに大黒市場で働く人々の笑顔が並ぶ

閉店したシャッターに大黒市場で働く人々の笑顔が並ぶ

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 大黒市場(長崎市恵美須町)で働く人々の笑顔の写真など24点が、同市場の空き店舗のシャッターにズラリと並び、話題を集めている。撮影したのは長崎南高校3年の岡部優さん。

昔の雰囲気が残る大黒市場近辺の外観

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 大黒市場の始まりは、戦後の混乱期の1954(昭和29)年ごろ。長崎駅一帯にできた闇市や違法建築物が復興の妨げになっていたことから、地域と行政が協力して代替地を現在の場所に用意。岩原川の上にコンクリートのふたを作り、その上に市場と住宅が移転した。  

 開設から50年以上が経過し、鉄筋の腐食やコンクリートのはく離など、ふたの老朽化が進み、崩落の危険などがあり安全性が保てないことから、長崎市がふたの撤去を決定。2012年3月移転完了を目標に住民や店と話し合いを進めている。  

 昨年9月に市場の閉鎖を知った岡部さんは、市場の様子や歴史を写真に残したいと思い立った。初めて訪問した時、「独特の雰囲気があり入りにくく感じたが、一歩足を踏み入れると温かで優しい雰囲気を感じた」と振り返る。以来、月に2~3回通いながら半年間撮影を続けてきた。

 快く協力してくれる市場の人々の話を聞き、撮影しているうちに「ファインダーの向こう側にある笑顔の奥に、趣がある場所で長年生活してきた人の歴史、不安や寂しさを感じ共感した」という。「ここで働く人や買い物客が楽しんだり、思い出になったりするようなことができないか」と考え、シャッターを使った写真展を思いついたという。  

 岡部さんが本格的に写真を撮り始めたのは小学6年生くらいから。独学で始め、毎月各種写真コンテストへ精力的に応募している。毎日写真コンテスト最優秀賞、よみうり写真賞、九州産業大学・上野彦馬賞などの入賞・入選経歴を持つ。高校では科学部デジタル班に所属し、学校行事などを写真に記録している。「将来は写真関係の仕事に就きたい」と目を輝かせる。  

 市場関係者は「シャッターの写真を見ていると気持ちが明るくなる。写真を見に来てくれた人が買い物をしてくれるとうれしい。少しでも市場の活性化につながれば」と期待を寄せる。

 今後も来年3月まで撮影を続け、写真の入れ替えや追加を行いながら展示を続ける。

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