生物多様性条約第10回約定国会議(COP10)に合わせて来日した「13人のグランマザー」が10月31日、長崎原爆資料館(長崎市平野町)でシンポジウムと祈りのセレモニーを行い、「平和の心を持つ大切さ」を伝えた。
「13人のグランマザー」は、世界中の先住民族や少数民族を中心とした女性の長たち。地球と地球に生きるすべての命への調和と平和について、年に1~2回国際会議を開いている。
長崎でのシンポジウムは「鎮魂と平和の祈り~子どもたちの子どもたちへ美しい地球を贈ろう~」をテーマに開催された。シンポジウムに参加したのは、アマゾン・ブラジル在住のクララ・シノブ・イウラさん、マリア・リースィー・カンポス・フレイレさん、ホピ族・アリゾナ州 ・アメリカ在住のモナ・ポラッカさん、マザテック族・メキシコ在住のフリエッタ・カシミロさんら4人の「おばあちゃん」たち。
シンポジウムの冒頭で、日本の国際会議ホスト役のクララさんは「長崎で起こった原爆の歴史は、戦争を知らない人にも平和の大切さと光を教えてくれる」「おばあちゃんたちが知っている、自然からの学びや先祖たちの教えを子どもたちに伝えることが大切。そして、それを子どもたちが次の世代に伝えていく。皆さんもいずれおばあちゃん、おじいちゃんになるのだから」と、世代を通して生きる知恵を継承していく大切さを語った。グランマザーの一人、マリアさんは「すべての生き物は地球の命を共有して生きており、小さな生き物への尊敬の念を忘れてはいけない」と話した。
シンポジウムの後半では、会場参加者も一緒になり祈りの歌を合唱。「わたしたちグランマザーが重視しているのは、世界の人々の素晴らしい笑顔。これこそが平和」というグランマザーの言葉で締めくくられた。
シンポジウム後の祈りのセレモニーでは、原爆落下中心地公園(松山町)にある原爆落下中心地碑に祭壇が設置され、原爆犠牲者へ鎮魂の祈りと感謝の祈りが捧げられた。最後に、原爆落下中心地碑を中心に参加者全員が輪になり、グランマザーからの教えを胸に大地にとうもろこしの粉をまいて地球への感謝を伝えた。