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長崎セントラル劇場で記録映画「ある精肉店のはなし」-「見たい」の声に応えて

精肉店を営む北出さん一家 ©ポレポレタイムス

精肉店を営む北出さん一家 ©ポレポレタイムス

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 長崎セントラル劇場(長崎市万屋町、TEL 095-823-0900)で5月10日、ドキュメンタリー映画「ある精肉店のはなし」の上映が始まる。

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 同作は「いい肉の日」にあたる昨年11月29日から公開されたドキュメンタリー映画。纐纈(はなぶさ)あや監督は「ナミイと唄えば」「アレクセイと泉」(以上2006年)、「パオバブの記憶」(2009年)などのドキュメンタリー作品にスタッフとして関わった経験を持つ。監督デビュー作「祝(ほうり)の島」(2010年)では、1982(昭和57)年に突如持ち上がった原発建設計画に28年間反対運動を続けている瀬戸内海の「祝島(いわいしま)」に監督自身が長期滞在し、自然と共存する島の人たちの生活と長期間にわたる原発反対運動の様子を内部から追いかけ、人間の生き方を深く考えさせる作品に仕上げた。

 「ある精肉店のはなし」は、大阪貝塚市で昔ながらの「と畜」を行う実在の精肉店「北出精肉店」の家族の日常を追ったドキュメンタリー作品。今年発表された第87回キネマ旬報「文化映画ベスト・テン」では、「標的の村」(三上智恵監督)に次いで第2位を受賞している。

 同作に登場するのは親子7代にわたって家業を継いできた北出家の人たち。家族4人が阿吽(あうん)の呼吸で牛を見事に捌(さば)いていく。枝肉は店に持ち帰り店頭へ。皮は「だんじりの太鼓」へと姿を変える。被差別部落の中で差別を受け続けた父の姿を思い出す兄弟は、差別のない社会実現に向けて地域の仲間と部落解放運動に参加。やがて自分たちの意識も、地域や家族のあり方も少しずつ変化していく。2012年3月、「と畜場」が102年の歴史を閉じることで北出精肉店の新たな歴史が始まる。

 撮影を担当したのは「祝の島」で撮影監督として「J.S.C賞」を受賞した大久保千津奈さん。同賞は文化、短編、記録、ドキュメンタリー映像などで感性や技術、社会的貢献を認められた撮影監督に贈られる。大久保さんは1996(平成8)年、KBC映像(福岡市)に女性のカメラマン候補として採用され、入社3年目の夏から報道カメラマンとして長崎文化放送(茂里町)で数年間勤務した。纐纈監督が「根性と体力があって、酒が飲める女性カメラマン」を探していたところに、白羽の矢が立てられたという。

 長崎市在住で映画ファンの安元哲男さんは「全国で話題になっている傑作であり、セントラル劇場が『見たい』という市民の希望を受け止めてくれた。今後、長崎でさまざまな作品上映の可能性が開かれたことがありがたい。牛の命に全身全霊で向き合う場面で『生きるとは何か?』という問いへの答がメッセージとなって伝わってくるはず。ぜひ見に来てほしい」と来場を呼び掛ける。

 前売り券は1,300円(一般当日券=1,800円)。同劇場のほか、浜屋プレイガイド、入江たばこ店(以上、浜町)で販売する。上映は5月16日まで。

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