博多大丸長崎店(長崎市浜町)が7月31日19時、157年にわたる営業に幕を下ろした。
最終営業日となった同日、同店には別れを惜しむ約2万7000人の買い物客らが押し寄せた。閉店1時間前の18時からは、同店正面玄関前で銀屋町鯱太鼓保存会による演奏が始まり、老舗百貨店の最後の瞬間を見届ける人であふれた。
営業終了後の19時30分、林田尚之店長と従業員らが正面玄関に整列。「従業員一同、この街が大好き。これが終わりではなく、『政どんの銅像』のようにわれわれも顔を上げて一歩前へ踏み出す気持ちでいる。長きにわたるご支援ご愛顧に感謝します」と最後のあいさつ後、シャッターが下りた。
1854(安政元)年に貿易商徳島屋として創業し、1903(明治36)年に現住所へ移転し岡政呉服店に改称。1934(昭和9)年に長崎初の百貨店として開店した。1988(昭和63)年に岡政から長崎大丸になった後も、長崎市民から岡政と呼ばれ親しまれてきた。
店舗の老朽化および業績悪化により今年1月に閉店が発表されたときは、長崎の経済界や市民から驚きの声が次々と上がった。5月末から閉店セールを始め、「政どん」銅像をキャラクター化したオリジナルグッズや販促物を次々と発表して各種キャンペーンを開始。連日別れを惜しむ買い物客が訪れ、老舗百貨店の最後の花道を飾った。
閉店後は解体され、跡地に3~4階建ての商業ビルを建設する方針だという。
営業終了後の問い合わせ先窓口として8月2日、博多大丸長崎事務所(浜町1、TEL 095-822-3123)を開設。2012年1月まで問い合わせに応じる。