自作の詩の朗読パフォーマンスで対戦する「詩のボクシング・長崎大会」が8月27日、観光通りアーケード(長崎市浜町)で行われた。
詩のボクシングは、ボクシングのリングに見立てたステージで朗読ボクサー2人が交互に制限時間内で自作の詩の朗読パフォーマンスを披露し、どちらがより観客の心に届いたかを審査員の多数決で勝負を判定するもの。長崎大会は今年で4回目。優勝者は10月22日に東京で開催される全国大会に出場できる。
会場となった観光通りアーケードの特設リングには、予選を勝ち抜いた老若男女8人の選手が集まり激しい対戦となった。ウルトラマンの謎を語る人、言葉を掛け合うエコー人民共和国の建国を呼び掛ける人、地デジ化で消え行く運命を嘆くブラウン管テレビになりきる人、前髪を描写した人など、いずれも力作ぞろい。会場がアーケードの真ん中とあり、遠巻きに見ながら通り過ぎる人や立ち止まって聞き入る通行人など、アーケードならではの光景が見られた。
決勝戦では6月に前期全国大会出場を果たした長崎市在住の岩永真実さんと、北九州市の大学1年生、村上昌子さんが対戦。決勝特別ルールで通常の3分制限の第1ラウンドと、その場でお題をもらって即興で朗読する第2ラウンドとの総合点で競う。
岩永さんには「クリ」、村上さんには「おにぎり」のお題が、それぞれ直前に与えられ、高級なクリの気持ちを朗読した岩永さんに対し、村上さんはおにぎりの親子になりきって朗読した。優勝は審査員5人の全員一致で村上さんに決まった。
「高校1年から詩のボクシングに関わっているが初めて優勝できてうれしい。即興の方はダメだと思っていたので驚いている」と笑顔を見せる村上さん。朗読のスタイルはいろんな人の作品を聞いて研究したという。
審査委員長で日本朗読ボクシング協会会長の楠かつのりさんは「アーケードのようにオープンな会場で行うのは選手には厳しいかもしれない。この試合は勝ち負けより、勝負そのものがライバル同士で一つの作品を作り上げるようなもの。その意味で今回の長崎大会は意義深いものになった」と話す。
村上さんは今後の目標について、「全国大会に行く交通費をバイトで稼ぐこと」とほほ笑む。