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長崎大学祭に「石巻焼きそば」-学生ボランティアへのお礼に

豪快に焼きそばを焼く宇都宮さん

豪快に焼きそばを焼く宇都宮さん

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 長崎大学(長崎市文教町) で11月23日・24日に行われた学園祭に宮城県石巻市から被災した食堂が出店し、「特製しょうゆラーメン」や「石巻焼きそば」を提供した。

盛り付けを担当する学生スタッフ

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 出店したのは石巻市内の店舗兼自宅で営んでいた「うつのみや食堂」。昭和30年代初めに現在の3代目店主・宇都宮雅博さんの祖母に当たる、いつさんが戦後、二男六女を女手一つで育て上げるために創業し、90歳になるまで調理場に立ち続けた。ラーメンやうどん、カツ丼、かき氷など約20種類のメニューがあったが、いつさんが特に得意だったのが「焼きそば」だったという。この味は地元の人に「おばあさんの焼きそば」として注文する人もいるほど愛されていた。ところが昨年3月11日の大震災で自宅兼店舗は全壊し、宇都宮さんは今後のことを考える余裕がなく廃業を考え始めたが、全国からのボランティアなど多くの支援を受け、もう一度店を復興させることを決意した。

 震災復興支援の学生団体「長崎Sip-S」が石巻にスタディーボランティアを派遣した際に、宇都宮さんとの交流を持ち、今回はそのお礼としてミニバンに器材、食材を積み込み2200キロを2日がかりで長崎まで駆け付けた。出店には長崎Sip-Sのメンバーを中心に学生スタッフが応援した。

 23日は「特製しょうゆラーメン」400食を用意。小雨模様にもかかわらず長い行列ができ、10時から開店したが15時前には完売した。24日は天気も回復し、いつさんが得意だった「石巻焼きそば」600食を提供。焼きそばの匂いにつられて長い行列ができた。1回にできる数に限度があるため、間に合わなかった客は約15分待たされたが、多くの人が楽しそうに出来上がりを待っていた。「店によって下味の付け方が違うが、うちでは2度蒸しした茶色の麺を使う。だしはサバの削り節から取る。最後に目玉焼きを載せるが50年味は変わらない」と宇都宮さん。

 焼きそばを食べた深尾典男副学長は「うまかった。学生の自主的な活動がこのような機会を生むのは素晴らしい。将来につながるいい経験になると思う」と話す。宇都宮さんは「学生さんには何度も石巻に来てもらっているので、お礼がしたかった。長崎の人からまた元気をもらえて、とてもうれしい」とも。

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