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特集

インタビュー2016-04-20

「お化け屋敷のプロによる地方創生への独創的発想」
~オンリーワンの価値を見いだして世界を驚かす~

マイケルティー・ヤマグチさん(長崎市出身)インタビュー
~地方活性化や若者の将来への独創的なメッセージ~

京を拠点に現在、映画やTV出演、さらに住宅街から東京原宿のファッションビル、 AKB48などの番組用お化け屋敷まで、数々のプロデュースを手掛けるマイケルティーさん。大阪では1ヶ月で3万人の動員を記録するなど全国で活躍中ですが、ここまでに至る経緯を教えてください。
、旧長崎市長邸(現・長崎市市民活動センター)をベンチャーオフィスにさせていただいていた時代がありました。そのころ、デザイナーとして指名を受け、同行して上京したのですが、3日間の東京滞在中に芸能スカウトされました。 映画や台場でのお化け屋敷プロデュースなど、東京に出た途端、これまで手掛けてきたことが一気に実を結びました。

構長く実家にいたので、今でいうニートに近かったから、絶大な評価と同時に「やはり長崎にいてはダメな人だったんだ」と周囲に納得されて、複雑な気持ちではありました。今でも地元・長崎の方たちと取り組もうとしていて色々な面で進まない時は、そう言われてしまいがちですね。非常に残念に思います。
「確実に地元で育まれた経験によって形作られた種が、気候が合う土壌で花開いた」ということでしょうが。今は「外での経験とその視点を持って、地元に貢献できなければ一人前ではない」という想いで取り組んでおります。

ぜ「お化け屋敷のプロデュース」をお仕事として選ばれたのですか?
ず、僕自身が天邪鬼(あまのじゃく)だからなのですが、他人も同じことをやっていると分かった時点で「もうやる気がしない」性格なのです。図画工作の成績はずっと5でしたが、絵を描く人なら山ほどいるので、その当時は特殊メイクの仕事にとても稀少性を感じていました。だけど映画産業がない長崎の中で「やりたい仕事ができない」とくすぶるのではなく、「自分がプロデューサーとして作りたい世界を自分へ発注できる」という逆転の発想により、その形として「アトラクション」を自分のフィールドに取り込んだのは早かったですね。
幼稚園のころからクロゼットの中にお化け屋敷を作り始めていましたが、長崎西洋館(長崎市川口町)で150坪のお化け屋敷「パンドラの箱」に携わったのが商業デビューです。もう20年以上昔のことなのに、今でもまだ語り継がれているのは、いい意味での「怖すぎるトラウマ」のおかげです。1日1000人を超える行列を作ることよりも、僕としては誇りですね。


【映画館内にお化け屋敷を作るなど、ハリウッド映画からタイアップも】

随分早くから、お化け屋敷のプロデュースを手掛けていらしたのですね。
20歳を過ぎたころには、現在提唱している「お化け屋敷リノベーション」の推進のため、すでに行動していました。福田の長崎遊園地やオランダ村、北九州スペースワールドなどもそうです。ちなみに中学2年生までは、お化け屋敷が怖くて入れない子どもでした。実はそれが福田の長崎遊園地にあった「スリラー館」だったんですよ。 凄い運命です。

長崎の有名テーマパークといえばハウステンボスですが、何か関わりは?
ウステンボス様(以下、HTB)には、アトラクションの企画段階から、たびたびお世話になっております。特に澤田社長の昨今のイノベーション力には、すごく勇気をいただいております。日本三大テーマパークの中で、唯一の「日本オリジナルコンテンツ」であり、先端都市としての役割も担われています。各分野のプロフェッショナルな顧問の方々によって、コンテンツの研究開発が日夜進んでいます。実際にその現場にもお招きいただきながら情報交換をさせていただきました。
また「ハウステンボスピクチャー」としてディズニーやユニバーサルに追随する、本格的な映画製作現場や養成所、撮影スタジオを本年度中に開設されるとお聞きしました。映画制作やアトラクション制作を密接に融合させる取り組みを続けてきた自分にとっては、もちろん黙って見ているわけには参りません。
ご縁や感性を育んできていただいたお礼として、ぜひ応援や貢献をさせていただきたいと強く願っております。


【ターミネーター風。自分で特殊メイクできる俳優としても異彩を放つ】

実現するといいですね。それにしてもHTBに相当思い入れがありますね?
は創業される初期段階のHTBで、オープン前のお手伝いをさせていただきました。各アトラクションの試運転や、伊丹十三監督の映画「ミンボーの女」の撮影現場、マイケル・ジャクソンも宿泊したスイートルームに立ち会わせていただくなど、大変特別な体験をすることができました。
ちなみに「龍馬伝」や「るろうに剣心」から香港映画まで世界的に有名な谷垣健治さんがアクション監督を務め、映画「母と暮らせば」でVFXを担当されておられる同郷の小田一生さんが初監督された映画「笑う大天使(ミカエル)」(上野樹里さん主演)では、HTBの中を「史上最強の名門お嬢様学校」に、そのまま見立てて撮影されました。そのチームが集結して作り上げられた映画が、僕の代表作の一つとなりました映画「リアル鬼ごっこ」です。


映画俳優としてもマッドサイエンティスト役など個性的な役柄ばかり

そんなすごい事があったなんて知りませんでした。もっと地元・長崎の方にマイケルティーさんはじめ、そのような方々の活躍を知ってもらいたいですね。
当にもったいないと思うことが多いですね。僕自身も含め、長崎はシャイな方が多い土地柄。そのような面も考え、僕のお化け屋敷は「怖くて実際に入れない」という人たちも取り込む仕掛けまで考え抜かれています。例えば、無料の展示ゾーンを作ったり、映画で実際に使用された小道具や、テレビ番組の台本など、普段は「絶対に見ることができないもの」を自由に手で触れたり、記念撮影したりできるよう工夫しています。
最近は地元のロケーショサービス「長崎フィルムコミッション」様の活躍などにより、皆さんも
いろいろな可能性を感じられるようになってきていると思います。実はお化け屋敷の制作にも「デザイン」「脚本」「役者」「美術」「メイク」「衣装」「音楽」「宣伝」など、映画製作に通じる同じ総合的要素があります。クリエイターなどを目指して将来を模索している地方の皆さんに、お化け屋敷制作から参加していただきながら、ご自身の可能性に気づくことができるような「文化創出」の役割まで僕の使命だと考え進めております
最近では、ますます進化するAI(人工知能)技術の発達で、多くの職業が将来なくなると言われ、大企業でさえも先行きどうなるか分からない不透明な時代です。単純に「こんな変わった人でも自分の好きなことを追求すれば、新しい仕事を創りだして生きていけるんだ!」と、思っていただくだけでも報われます。

イケルティーさん自身は、どうやって長崎で特殊技術を学んだのですか?
は福岡や東京の専門学校に講師として呼ばれ、今では大学や小中高、幼稚園、企業に至るまでさまざまなところから講師の依頼を頂いておりますが、実は僕自身は、全部独学なんですよ。メイキャッパーやアーティストなどと名乗らせていただくつもりはなく、特殊メイクは自分の想像をダイレクトに現実化させるためのスキルなので、弟子入りなどはしませんでした。
師匠がいないと客観的には不利だと思われがちですが、逆に考えれば下手に感性やパーソナリティーを潰されることなく、自分で独自の分野を切り開きながら生きることができました。俳優の仕事のほとんどが、先に僕の特異なキャラクターありきで役を頂きます。
脚本の段階で「宛て書き」されたオファーがほとんどで、僕を形作っているのは、やはり「ワン・アンド・オンリー」の圧倒的強みだと思います。



大学での講義風景。お化け屋敷の作り方だけでなく、発想法、生き方まで

職業を自ら作りだすという姿勢は、就職先や将来に希望を持てない人たちへの勇気にもつながりますね。
画やアトラクションで、自分の想像を現実化するために自分の手で特殊造形を創りだすことと、自分のポジショニングや職業自体を創りだすことも含め、全てが自然に「ないものを創る」という姿勢に集約されてきました。 この世は就職も消費も「誰かが作りだしたものに不満を連ねている」ことばかり。不満を言い続けるだけでは自らイノベーションを起こすことは絶対にできません。不満を糧にする思考を内面に持ち続け、「絶対、ただの消費者にはなりたくない」という精神を昔から強く持っていました。
これまでのお化け屋敷では「企画を担当される方」と「人形造形や美術などの制作を担当される方」は必ずそれぞれ別々に外注されてきました。そのため、海外から購入された人形などを単に並べるなど、ストーリー性も独自性もまるでありませんでした。海外から輸入されたアトラクションに「更新力」が備わっておらず、第三セクターによるテーマパークブームのシュリンク(縮小)期には、全国からリニューアルの依頼を数多く頂いた経験も含め、私たちは外注なしでそれらを一貫製作できる強みがあります。「高いオリジナリティー」「クオリティー」と同時にコストパフォーマンスに優れたものが展開でき、それがまた他にはない強みになっていることも事実です。
企画するだけなら楽しいかもしれませんが、そこに実行力が伴わなければ「他力本願で待っているだけ」になり、思い通りには実現しません。不満を言うより、「そのための知識とスキルを自ら得ていく」ことこそが、実現化への早道と考えて今日まできました。

長崎の地域活性化の今後については、どのようにお考えですか?
光客側の気持ちになって長崎市内の魅力を楽しく伝える方法として僕はいつも「東京ディズニーシー」をイメージしています。海や山に囲まれ、教会群や西洋の街並み、中華街、それらを巡る路面電車などの魅力が、そこにはギュッと詰まっております。「東京ディズニーシー」は大人の趣向も満たせるリゾートとしての発想転換で作られましたが、長崎は「本物の港町」であり、歴史もあります。観光客にとっては国内にいながら海外旅行気分を味わえるところが、魅力ではないでしょうか。
僕自身は幼少期から外国人居住区や海軍基地など、海外の仲間たちと普通に交流することができる環境がありました。だから一時期は海外へ行く必要性をあまり感じていなかったし、今では逆に海外から長崎へ訪れる方たちが年々増えています。活かせる場所がこんなに詰まっている「凄い世界都市」だということに、ぜひ気付いてほしいのです。そこに大きな価値がありますから。


モデルをゾンビに。嫌悪感だけでなくスタイリッシュな特殊メイクが特徴】

長崎の活性化に「お化け屋敷」は有効ですか?
年、ランタンフェスティバルの時期に新地中華街で僕がプロデュースさせていただいたお化け屋敷のことですが、全国から大勢の方に「わざわざ飛行機に乗って」来場していただきました。そこまでして来場いただいたことはうれしいのですが、その後が心配で「この後、どちらへ行く予定ですか?」と行き先を尋ねたら、ほとんどの方が「軍艦島クルーズ」とお答えになりました。僕のお化け屋敷ファンと廃墟マニアのニーズがリンクすることは、これまでも戦略にしてきましたが、地元でその相乗効果を目の当たりにできて本当にうれしかったです。
ホラーはネガティブなコンテンツだと思われがちですが、バイラル効果が絶大なことや、世界で「そこにしかない」レアでユニークな価値を作りだせば、全国からのお客様はもちろんのこと、マスコミやタレントさんなどにも取材していただくことができます。かなり高額な広告費に換算できる「宣伝効果が高い媒体」として、それこそ化けるのです。施設の知名度や集客力、売上だけにとどまらず、さらには飲食や宿泊など、二次利益が周辺施設にまで発生する仕組みを含めた取り組みを行っております。また、飲食店をユニークな世界観でプロデュースすることも可能です。
地元の方々へのノウハウ提供や雇用創出までつなぎ、僕自身が東京で行うメディアの仕事などにも常にシナジーをリンクさせ、広報活動にも積極的に努めているんです。例えば
VR(ヴァーチャルリアリティー)やアプリの開発、リリースを、あえて地元企業で担っていただき、出演させていただいたNHKの番組で紹介するなど、中央や地方に関係なくビジネスはシームレスに加速できます。長崎の商店街の活性化のために、お化け屋敷をプロデュースした際も、その取り組みに感銘された国際放送の方が、はるばる取材に来てくれ、世界18カ国へ放送されたりもしました。使命を持った「自分の仕事」というものは、どこにいてもできるのです。


長崎の皆さんにマイケルティーさんから、何かアドバイスがありますか?
近も「古き良きものを壊して、新しいものを建てまくるしか能がないのか?」と思うようなことをよく目の当たりにしてませんか? 世界に誇れる凄いものが長崎には本当にたくさんあります。住んでいるからいつでも行けると思うと、なかなか目を向けることはありません。軍艦島の世界遺産認定で価値観が付随した途端、こぞって飛びついたように、他にもある「たくさんの魅力」を根底から見直し、皆さん自身の力で積極的に活かしてほしい。
最初は想像だけでもいいのです。例えば「平和祈念像が平和を守るために歩き出したら?」とか、大人に怒られそうなことでも、リフレーミング思考を使って感性豊かに考えればいいと思います。子ども時代はハッピーだったように日常も楽しめるし、脳内活性化により「実現力」が高まるはずです。想像は必ず現実に結びつきます。また、想像力があれば、いじめも自殺も殺人も起こせません。人へも、物へもオンリーワンの価値を見出す「思いやり」も想像力だと言えます。

日常のあらゆる場所をアトラクションに変える技術と実績を持つ


最後にマイケルティーさんからのメッセージ
在、さまざまな休眠物件を集客施設に生まれ変わらせる「お化け屋敷リノベーション」の相談を受けています。年末年始も関係なく、世界各国、全国各地の皆さまから数多くのご相談をいただき、地域活性への真剣な姿勢を見せていただいております。それは大変うれしいことですが、同時に
「長崎のもんたち、負けとる場合じゃなかぞ!!!」
って、いつも心の中で怒っております(笑)。
とは言え、僕自身が地元での認知度が本当にまだまだなので、改めてしっかりと精進して参ります。どうぞ皆さま、よろしくお願いいたします。


プロフィール 【マイケルティー・ヤマグチ】
「お化け屋敷のプロデュースから特殊造形まで」全てを作りだすことができる世界でも希少なスペシャリスト。

休眠施設を集客アトラクションに生まれ変わらせる「お化け屋敷リノベーション」の先駆者として、 これまで遊園地やイベント会場にしかなかった「お化け屋敷」を、全国の実にさまざまな場所に仕掛け、地域の活性化に貢献。幼稚園から企業に至るまで独創的な指導・講演を担い、「アメージング~人々を驚かせる素晴らしさ」を伝えている。

TV・舞台・映画・ジャニーズのステージまで、ホラー演出を手掛けるほか、その特異なキャラクター性から小説化されたり、俳優として出演したりと多方面で活躍する。特殊メイク技術や、映画「リアル鬼ごっこ」に登場した「鬼の造形デザイン」を手掛けたことでも広く知られる。長崎市出身
【公式ページ】
https://www.facebook.com/MTYattraction/
【お化け屋敷アソシエイション・オバケリア】
http://obakeyashiki.jimdo.com/

(
文責:長崎経済新聞編集部 田中康雄)

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