軍艦島デジタルミュージアム(長崎市松が枝)が9月、オープン3周年を迎える。
同館「明治日本の産業革命遺産」として2015年7月に世界文化遺産に登録された端島炭鉱(軍艦島)を最新のデジタル技術で体験できる博物館として、同年9月17日にオープン。VR(バーチャル・リアリティー)など最新技術を使い、軍艦島を3Dモデルで構築した「軍艦島3D散歩」や、立ち入り禁止区域をVRで体感する「軍艦島VR」、バーチャル空間を現実空間に映し出す「MR(ミックスド・リアリティ)ホロレンズ体験」などを展開する。
同ミュージアム、プロデューサーの久遠裕子さんは「最初から老若男女が楽しめるものを考えていた。観光客の幅を広げるためにはエンターテインメントが必要。軍艦島上陸ツアーも提供しているが、海の状態によっては欠航や上陸できないことがある。進入禁止エリアもあるので補完する必要を感じていた。軍艦島は当時、最先端の場所だったので、伝えるために現代最先端のデジタル技術を使おう思った」と話す。
館内ではバーチャル空間を現実空間に映し出す頭に装着するゴーグル「Microsoft Hololens」を使って館内を冒険し、採炭量を競うゲームが楽しめる。開発したMuuMu(長崎県長崎市)の川口肇さんは「現時点で日本の常設施設に設置しているのはここだけ。このために会社を作ったようなもの。軍艦島にこんなアプローチの仕方もあると感じてもらえたらうれしい。興味を持ってくれた人はぜひ体験してほしい。最先端の技術を使って表現することができてクリエーター冥利(みょうり)につきる」とほほ笑む。
3周年を機に導入された「すすむVR」は360度の景色を見渡すことができる。VR眼鏡を装着し、エアロバイクをこぐと、軍艦島の上空を進むことができる。右を向くと右の景色、左を見ると左の景色がまるでその場にいるかのように体験できる。現在立ち入りができない65号棟も空から見られる。同コンテンツを開発したドリロボ(東京都八王子市)の永澤文昭さんは「東京の展示会で『ずっと行きたかった軍艦島に行くことができた』と、感動して涙した人もいる。単純だが没入感が高い。座ったままで景色が動くとVR酔いをしてしまうが、これは自らこぐことで進むため、酔いにくい」と話す。
久遠さんは「良い出会いに恵まれこれだけのコンテンツをそろえることができた。観光も難しいものばかりでは面白くない。エンターテインメントを組み合わせることで興味を持つ人の幅が広がる。長崎のような観光都市で役立つと思うので、広めていきたい」と今後の展望を語る。
営業時間は9時~18時(最終入館17時30分)。入館料は、一般=1,800円、中学生・高校生=1,300円、小学生=800円、幼児(3~6歳)=500円、3歳未満無料。