長崎県庁で9月23日、「長崎学生ビジネスプランコンテスト2019」が開催された。主催はふくおかフィナンシャルグループ、十八銀行、親和銀行。
県内の地域経済活性化と大学発ベンチャー企業の発掘・育成を目指に行っている同コンテスト。5月から6月にかけて応募があった県内6大学1高専の38組89人に対して計3回の教育プログラムが行われ、応募があった22件のビジネスプランの中から9月初旬に書類審査が行われた。この日は、ファイナリストに選ばれた10組がプレゼンテーションを行い、新規性、実現可能性、表現力で審査が行われた。
グランプリには佐世保工業高等専門学校の平山さくらさんが輝いた。平山さんは「MEN’Sだって美肌」をテーマにしたビジネスプランを発表した。男性比率が高い理系の学校に通っているという平山さんは、同級生の男子を見ていて「にきびや肌荒れなどがあるのに男子はお肌の手入れをしないのだろうか」と感じたことからアンケートを行ったところ、肌の症状に問題を感じ、手入れの必要性を感じてはいるものの、「やり方がわからない」「男性化粧品売り場に行きづらい」といった意見が多かったことから市場があると判断。県内企業に協力を求め、県内産の素材を使って敏感肌や肌の弱い人も使うことができる化粧水などの開発に取り組み、ネットなどを通じて購入しやすい環境を構築したいと提案した。
昨年も同コンテストに出場したという平山さんは「ビジネスの実現に向けて明確な方向性が見えてきた。会社立ち上げのためにもグランプリを取りたい」と意気込みをみせる。審査員からは「中高年の男性でも化粧品コーナーに行きづらい。私たちもこのような商品・サービスがあれば関心がある」という声が上がり、会場が笑いに包まれる一幕も。一方、「肌に優しい成分を含むことから肌トラブルに悩む女性には使えないのか」との意見や「既存の男性向け化粧品との差別化はどのように考えているのか」との意見も挙がった。平山さんは「若い男性が日常生活の中で手に取ってもらえるようナチュラルなデザインを目指した。肌トラブルに悩む同級生たちに使ってもらい、モテてもらえたらうれしい」と話す。
プレゼン後には九州パンケーキなどを手掛ける一平ホールディングス(宮崎県宮崎市)社長の村岡浩司さんの基調講演も行われた。「世界があこがれる九州をつくる」をテーマにインターネットの普及により起きた変化などを挙げながら、これからの事業の考え方について触れ、起業家の卵たちにエールを送った。
表彰式で総評を行ったFFGベンチャービジネスパートナーズ(福岡県福岡市中央区)社長の福田知さんは「長崎でも学生の起業マインドが醸成されつつある。ビジコンに出場することを目的にするのではなく、実際に起業することを目指してこれからも努力を続けてほしい。より起業マインドの高い学生が集まるビジコンなどにも挑戦して切磋琢磨(せっさたくま)してもらいたい」と話す。
グランプリを受賞した平山さんは「緊張したが、大会を楽しもうという気持ちで臨んだらグランプリに選ばれたので驚いた。大会に参加したことで企業を目指す志の高い友人に出会えたり、企業さんとのつながりができたりしたことでビジネスプランが実現できそうな状況が見えてきた。残りの学生生活のなかで商品化し、『高専ブランド』を生み出したい」と意気込む。