長崎初開催となる文化庁メディア芸術祭長崎展「ワンダリングワールド~メグル・ココロ・オドル~」のオープニングセレモニーが1月8日、会場となる長崎県美術館(長崎市出島町)で行われた。
「文化庁メディア芸術祭」は、アート、エンターテインメント、アニメーション、漫画の4部門において優れた作品を顕彰し、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル。今回で22回目となる同イベントは、世界102の国と地域から4383点に及ぶ作品の応募の中から受賞された作品が並ぶ。地方展開は長崎と小樽のみ。
長崎県美術館、長崎県庁舎、長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館、長崎港松が枝国際ターミナルの4カ所を「ワンダリング(回遊)」しながら楽しめる展開になっている長崎展。「長崎しまの芸術祭」とのコラボやARまちあるき@長崎のツアーでは長崎さるくのガイドと共に街を歩きながらARの技術を用いてタブレット端末に映し出し、「思い出のぞき窓」として昔の風景と見比べながら歩くなど地域連携のプロジェクトも行う。
佐世保市出身で企画ディレクターを務める森山朋絵さんは、画家である父の元で育ち、アートには幼い頃から触れる機会が多かった。父親に連れられて行った大阪万博で見た大きなパビリオン作品やつくば科学万博で展示されていた「SONYジャンボトロン」を見てアートとテクノロジーに興味を持つようになったという。
「長崎は日本で初めて蒸気機関車が走り、さまざまなものが伝来する場所であり、テクノロジーの最先端だった街。日本の歴史を作ってきた場所でアートと最先端テクノロジーを融合させた展示会の企画ディレクターとして地元長崎に戻ってこられたのはとてもうれしい」とほほ笑む。
長崎県美術館エントランスロビーで一際目を引くGRINDER-MANの作品「HERO HEROINE」は、特撮やアニメの手法により、リアルとインターネットをつなげる体験型メディア・アート。主役になりきり撮影を行い、20秒の動画に登場することができる。
映像インスタレーションとして展示している「Co(AI)xistence(コ・エグジスタンス)」は、温度や湿度、照明や動きなどの情報に反応する人工知能ロボット「Alter」と森山未來さんがコラボする作品。制作した映像アーティストのジュスティーヌ・エマールさんは「全く異ならない機械(AI)と人間が『共存』するのを視的なアプローチで届けたいと思い作った。西洋と東洋の文化交流があり、考古学や歴史的な背景でも奥深い長崎で展示できて、とてもうれしい」と話す。
エンターテインメント部門大賞の「チコちゃんに叱られる!」のチコちゃんが12日、長崎に初登場し、ステージ上のチコちゃんを撮影できるイベントも行う。
会場により開場時間は異なる。入場無料。1月19日まで。