JR長崎駅(長崎市尾上町)で3月27日、新幹線駅舎の現場見学会が行われた。
今秋、西九州新幹線(長崎―武雄温泉)が開業するのを前に「新たな門出に向けてムードを高めよう」と長崎市が企画した。市ホームページなどから希望者を募り、定員1000人に対して7134人の応募があった。
抽選に当選した参加者らはヘルメットを装着し、30人ほどのグループごとに整備中の新幹線乗り場へ移動。鉄道運輸機構の誘導員から説明を受け、回送列車などを待機させる副本線があるホーム下に下りた。
線路にはレールを設置するための車両が止められており、参加者はレールに刻印されたマークなどについて誘導員に質問したり、普段は入ることができない場所からの撮影を楽しんだりなど思い思いの時間を過ごした。ホーム下を端まで移動し、高架橋の架橋などこれまで進められてきた新幹線整備についてのパネルを見ながら説明を受けた後、ホームの上に上がった。
ホームは柱などの構造物を極力減らし、屋根に帆をイメージしたデザインを取り入れることでホームから屋根までの高さ最大13メートルほどの広く開放的な空間を確保。誘導員は「頭端駅のため通過列車がいないことからここまで天井が高く開放的な駅にすることができた。ここまで天井の高い駅は国内でも長崎駅ぐらいで、外国の駅のようだという声もある」と説明。頭端駅の特徴を生かし、南側には長崎港を一望できる展望スペースも設けられている。線路終端部は車止めが設置されており、参加者からは「このような構造物があるのは頭端駅ならでは」という声も上がった。
最後にコンコースのトイレ入り口に設置されたガラススクリーンについても説明を受けた。ガラススクリーンは両端にガラスを特殊な樹脂で固めたステンドグラスのようなガラスユニットと出島の建物をイメージしたという木製の構造物で構成。昨年8月に一般からの公募で参加した小学生以下の子どもたち66人が制作したもので、遠くから見ると長崎市の市花アジサイにも見えるという。
ガラススクリーンの制作に参加した子どもらも見学会に参加しており、誘導員は「子どもたちが制作に参加した思い出を、駅を利用する際などに語り継いでもらえればうれしい」と笑顔を見せる。
西九州新幹線の開業は9月23日を予定する。