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長崎で「国際平和映像祭」 人間が突然変異した未来を描いた作品がグランプリに

記念撮影の様子

記念撮影の様子

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 長崎原爆資料館ホール(長崎市平野町)で9月18日、「国際平和映像祭」が行われ、イーファン・リ監督(中国)の「5肢の体」がグランプリに選ばれた。

グランプリ作品「5肢の体」の一コマ

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 長崎で初開催となった同映像祭は学生を対象に、国連が定める9月21日の「国際平和デー(通称「ピースデー」)」に合わせて2011(平成23)年から横浜で毎年開催。平和やSDGsをテーマにした189作品の応募の中からファイナリストにノミネートされた10組の作品の上映と監督スピーチ、審査が行われた。

 グランプリに選ばれたイーファン・リ監督の作品は深刻な環境汚染により、全ての人間が突然変異を起こした未来の世界を描いたもの。完成度が高く、インパクトの強い作品だったことに加え、平和をテーマとした映像祭で「今の異常がいずれ通常になるかもしれない」というユニークな問題提議だったことが受賞につながった。「全ての人に世界を守る意識を喚起したい」と話すイーファン・リ監督。審査員の鈴木達治郎さんは「描かれている問題について議論してほしい」と話す。

 このほか準グランプリに島田拓空也監督の「無題~型にはめない支援のあり方~」、審査員特別賞にウンジン・ムン監督(韓国)の「繋(つな)がり」が決まった。

 映像祭では「みんな傷つく」(ソヒョン・リー監督/韓国)を特別招待上映や札幌国際短編映画祭の創始者でプロデューサーの久保俊哉さんによるトークと同映画祭の作品の上映が行われた。asobot代表の伊藤剛さんをモデレーターに迎え、長崎出身で現在は核廃絶に取り組む任意団体「KNOW NUKES TOKYO」の共同代表を務める中村涼香さんと難民問題や入館問題に取り組む長崎大学の学生団体「STARs」設立者の三田万里子さんによるピーストークが繰り広げられた。

 ピースデーミニライブには長崎出身の被爆3世で、現在は東京と長崎の2拠点で活動するシンガー・ソングライターの上奥まいこさんが登場。上奥さんが祖父母から聞いた被爆体験を元に2017(平成29)年にリリースした「影おくり」など3曲を披露し会場を盛り上げた。

 一般社団法人「国際平和映像祭」代表理事の関根健次さんは4年前、ピースデー制定に尽力したジェレミー・ギリーさんを日本に招き、会場となったこの場所で日本の被爆3世と対面を果たして号泣したことに触れ、「かつての敵国同士でもこうやって友人関係を築くことができ、平和への第一歩となる。ピースデーには平和のために身近な人に優しくするなど行動してほしい」と呼びかけて締めくくった。

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