活水女子大学(長崎市東山手町)で10月19日、「長崎さくらねこの会」代表の山野順子さんが講義を行った。
同団体が活動時に着用する市公園管理者のカードと市動物愛護管理センターの腕章
中島川公園(栄町)や魚の町周辺で猫の愛護活動を行う同団体。代表の山野順子さんは2017(平成29)年から「行き場を失った猫を助けたい」と、野良猫のふん尿被害による問題が深刻化する同エリアで猫と地域住民が共生できる方法を模索しながら1人で活動を始めた。2018(平成30)年に任意団体として発足した「長崎さくらねこの会」を今年3月に一般社団法人化。現在は老猫ホームとキャットホテルを併設する譲渡型保護猫シェルターの開設を目指して準備を進めている。
同大の吉牟田聡美准教授は同団体に支援物資などを寄付していたことがきっかけで、「学生にも地域猫活動を知ってほしい」と山野さんに相談し特別講義が実現。同大国際文化学部英語学科2年生の学生12人が、「言語ボランティア演習」の一環として受講することになった。
今月12日には学生12人が同団体の活動エリアとなっている中島川公園を訪問。山野さんの案内で当初は野良猫によるふん尿問題で「うんこロード」という別名まで付くなど根深い問題となっていた場所や地域猫として朝夕に餌やりなどの世話をする場所などを見学した。
講義では、山野さんが活動を始めるきっかけになった経緯を紹介。現在では20人の仲間と共に活動を行うまでになった理由について、「行動あるところに人は集まる」と話し、「活動すればするほど地域の現状と野良猫の課題が見えてきた」と振り返った。
同団体の活動の中心となっている、野良猫を捕獲し、不妊去勢後に元の場所に戻し、餌やりやふん尿の清掃を行いながら地域猫として管理する「TNRM」活動について紹介。山野さんは避妊去勢手術を行いながら見守っていくことの重要性と「野良猫をゼロにする」という目標の意義について訴えた。
不妊去勢手術を行った野良猫は目印として耳の先をV字にカットすることから「さくら猫」と呼ばれる。長崎市での殺処分の現状にも触れ、さくら猫は捕獲されても殺処分の対象とならないことから「不幸な猫を減らすことにつながる」とも。
学生からは活動にかかる費用や資金繰りのほか、行政と組んで活動を行うメリットや一般社団法人にした理由などについて質問が寄せられた。
吉牟田准教授によると学生らはグループに分かれ、2週間かけて同団体の活動をまとめ、日本語と英語でPRするリーフレットを作成するという。