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浦上天主堂でクラシックコンサート 指揮者・西本智実さんらが平和の祈り奏でる

開演前に取材に応じる西本智実さん

開演前に取材に応じる西本智実さん

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 浦上天主堂(長崎市本尾町)で1月25日、西本智実さん指揮による「響け!平和の鐘 プレミアムコンサート」が行われた。主催は角川文化振興財団(埼玉県所沢市)。

コンサートの様子

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 文化庁の日本博を契機とする文化資源活用推進事業の一つとして同財団が取り組む「バチカンと日本 100年プロジェクト」の一環で行われた同コンサート。バチカンと日本は、大航海時代のキリスト教伝来450年以上の時を刻み、さまざまな時代を経て交流を続けてきた。2022年は正式な国交締結から80年となる一方、交流史についての調査が不十分で、研究の光が当てられていない史料もある。同プロジェクトでは両国の関係に焦点を当て、教皇庁文化評議会の協力で2020年から2022年にかけて書籍の刊行やイベントなどを行ってきた。

 西本さんは2013(平成25)年にバチカンから招聘(しょうへい)されて以来、7年連続でバチカン国際音楽祭に出演。オーケストラ、バレエ、合唱から成る「イルミナート」の芸術監督兼総合首席指揮者を務めるなど世界的に活躍している。原爆投下70年となる2015(平成27)年にはローマ教皇からの書簡を広島に届けるなど、世界平和に貢献する文化交流活動も行っている。

 コンサートには事前に抽選で招待された150組300人が訪れ、同プロジェクトのアンバサダーを務める西本さんの指揮の下、イルミナートバロックアンサンブル、周防彩子さん(ソプラノ)、イルミナート合唱団、長崎少年少女合唱団による演奏・合唱が行われた。

 今回のコンサートに向け、「長崎という場所はバチカンの文献や戦国時代の日本の貴重な資料を残したルイス・フロイスにも必ず初めに出てくる。遠いバチカンの地で長崎がいかに重要で文化を届けてきた場所だったかを感じた」と話す西本さん。天主堂で音出しをした際に「温かな音色が広がる空間に、悲しい歴史を乗り越え、見事に復興して世界の扉を開ける、この地のいろいろな歴史が胸に響いた。コンサートのもう一つのテーマは『調和』。音楽は希望や勇気だけでなく、悲しみも共有できる平和につながるもの」と笑顔を見せた。

 コンサートはバチカンの鐘と浦上天主堂のアンジェラスの鐘の音が響き渡り、始まりを告げた。潜伏キリシタンの祈とう文として代々、口伝でのみ伝わってきた「オラショ」の原曲となったと言われるグレゴリオ聖歌から「O gloriosa Domina」を1曲目に披露。若くして亡くなったという西本さんの曽祖母は長崎県平戸の潜伏キリシタンの出身。祖父から曽祖母や平戸に伝わる不思議な歌として「オラショ」のことをよく話を聞いていたことから、公演の合間に自らのルーツとなる平戸を訪れたこともあるという。初めてバチカンを訪れた際にもオラショの存在を伝えたいと考えていたと言い、バチカンのミサでも希望曲として披露している。

 このほか、1582年から1590年にかけて九州のキリシタン大名によって派遣された「天正遣欧少年使節」でローマに派遣された4少年が帰国後、豊臣秀吉の前で披露したとされるジョスカン・デ・プレ作曲の「はかりしれぬ悲しさ」、長崎少年少女合唱団12人を交えての「ハレルヤ」のコーラスなど全5曲が演奏され、大きな拍手が鳴り響いた。

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