長崎県土木部建設企画課が発行する土木広報誌「DOVOC通信ながさき」の刊行50号を記念するイベントが3月11日、長崎県庁で開催された。
災害などが発生した際にはまず土木関係者が現場に駆けつけるなど、安心安全な地域づくりに土木が欠かせない存在であることから、長崎県の土木の「今」を伝えることを目的に2007(平成19)年8月から年3回発行。2022年度からは年4回発行して、県内の道の駅やパーキングエリアなどで配布している。近年は中高生向けに将来の職業選択につながる情報発信にも力を入れる。
イベントは44号から特集記事「ラブ ラブ DOVOC」を執筆し、子どもたちに学校では学べない体験を通して土木の役割を伝えるイベントを企画するなどの活動に取り組む長崎大学職員の「デミー博士」こと出水享さんが企画。当日はトークライブを行った。
50号までの歩みをテーマにしたトークライブでは、長崎港の入り口に架かる女神大橋の開通や、15年ほど前に始まった西九州新幹線開業に向けた長崎駅周辺の再開発など、県内の土木に関する大きな動きを紹介。女性が活躍するチームの紹介など、人や働き方に関するトピックスも織り交ぜた。
写真展「高校生がみた土木の世界」も企画監修する出水さん。昨年7月に長崎港で行われているしゅんせつ工事の見学会にも参加した長崎東高校1年で写真部の渡部光さんと宮原瑠生さんが参加して意見交換を行った。2人は初めて見た土木の現場について、「知らないところで頑張ってる人がいることを知った」「泥臭い現場というイメージがあったが、洗練されていることに驚いた」と振り返る。写真展に向けた撮影では、「規模が大きく、どう切り取るとかっこよく見せることができるか考えながらシャッターを切った」と笑顔を見せる。
「ミライの土木」をテーマにしたトークライブでは県建設企画課の中村泰博課長と長崎県建設業協会支部青年部連合会で部会長を務める西山潤一郎さんが参加。担い手不足で受注者が見つからない現状を踏まえ、発注者と受注者それぞれの目線から意見交換を行った。県では2022年度から経営者向けの意識改革セミナーも行っており、賃金アップだけでなく、業界イメージ向上などの課題解決に向けて包括的な取り組みの必要性が明らかにした。
イベントに合わせて3月21日まで、パネル展も開催。50号全ての表紙とともに大きな動きを紹介する特集記事などを展示する。写真展「高校生が見た土木の世界」では、長崎東高校と諫早高校(諫早市)、大村高校(大村市)の県内3校と佐賀や大分の高校の写真部の生徒が撮影した「はじめての土木」の写真を並べる。このほか、土木学会が発行する土木学会誌で表紙イラストの制作に携わり、県内でも西海橋と本河内低部ダムのイラストを描いているモリナガ・ヨウさんの土木展も開いている。会場は県庁1階協働エリア。開催時間は9時~21時。