ゲルニカ爆撃の日に当たる4月26日、平和公園(長崎市平和町)でキッズゲルニカを通して平和を祈るオンラインイベントが開催された。
86年前、内戦中のスペイン北部の都市・ゲルニカにドイツ軍による戦史上初の本格的な都市無差別爆撃があったことから、ロシア軍による民間人虐殺があったウクライナのブチャ市が呼びかけ、同市とスラヴィティチ、ゲルニカ、被爆地の広島と長崎をつないで行われたもの。
長崎からは「キッズゲルニカ in 長崎」を手がける山下昭子さんと大浦小学校(上田町)などの児童でつくる「長崎居留地キッズコーラス」が参加。時津町浦郷で学習特化型フリースクールを運営するNPO法人「conpeito」代表理事の牛津理美さんが司会進行を務め、発信を行った。
キッズゲルニカはスペインの画家パブロ・ピカソが同爆撃の惨状を描き、戦争を非難した壁画「ゲルニカ」に倣い、同作と同じ縦3.5メートル、横7.8メートルのキャンバスに子どもたちが平和へのメッセージを描く国際的な取り組み。山下さんは「原爆で亡くなった多くの人の死を悼み、平和の祈りを捧げたい」と17年前から市内の子どもたちに絵を描いてもらい、10数点の作品を毎年8月に爆心地公園(松山町)の横を流れる下の川で1カ月間、展示している。
イベントでは、平和祈念像前に子どもたちが2020年に描いた2点の絵画を並べて紹介した。「平和のバトン」は学童保育いなさっこクラブ(稲佐町)の子どもたちが制作した。幸せの象徴であるクローバーを山で埋め、手形で描いた虹に「世界への平和のバトンを永遠につないでいきたい」という思いを込めている。爆心地近くの高校の書道部の生徒が制作した「世界平和」は毛筆で書かれた「世界平和」の周りに30カ国語で「世界平和」と虹色で書かれている。
長崎居留地キッズコーラスのメンバーは児童の一人が昨年夏、長崎を訪れていたウクライナ正教会の司祭に電車の中で席を譲ったことがきっかけで親交が生まれた。「ウクライナのために何かしたい」と同国の首都キーウの美しい景色や古里への愛を歌う「私のキーウ」の練習に取り組んできたことから、イベントではメンバー7人が合唱を披露した。
牛津さんは自身の運営する塾でフィンランドへの研修旅行を企画したり、「子どもたちが平和を発信する場を設けたい」と子どもたちが中心となって作り上げたアンネ・フランク展を開催したりするなど、英語教育と同時に平和活動にも力を入れている。イベントでは通訳として長崎での取り組みを紹介し、山下さんらの平和へのメッセージを英語で世界に発信した。