長崎の鮮魚を宅配するサブスクリプション(定期購買)サービス「one bite fish」で現在、橘湾赤潮被災養殖業者を支援する義援金付き商品が期間限定で販売されている。
同サービスは「日本一の豊富な魚種が取れる」長崎の水産業が抱える「認知度が低い」という課題の解決と同時に、豊かな魚食文化を持つ長崎の水産資源を生かしたPRを行いたいと、ジョイフルサンアルファ(長崎市江川町)や「F.デザインNAGASAKI」(鍛冶屋町)、伊藤忠インタラクティブ(東京都港区)が3年ほど前から取り組んできた。ジョイフルサンアルファが運営する食品加工場で加工した鮮魚商品を毎月利用者に届けるサブスク形式でサービスを展開。これまで50種類以上の魚種を扱い、関東圏を中心に延べ500人以上に商品を届けてきた。
長崎市東部にある牧島周辺では橘湾の湾奥にある穏やかな海域を活用してトラフグやシマアジ、マダイなどを扱う養殖業者が事業を行い、同サービスにも鮮魚を提供してきたが、今年8月、橘湾一帯で大規模な赤潮が発生し、トラフグやシマアジのいけすを中心にほぼ全滅する大きな被害が出ていた。
ジョイフルサンアルファ新事業開発室の久保井成正さんによると、「魚のおいしさだけでなく、環境負荷、食文化への貢献など、さまざまな配慮を行いながら養殖を営んできた事業者を守ることが、日本の豊かな食卓や食文化を守ることにつながる」と、赤潮で大きな被害を受けた事業者を支援するため義援金付き商品の発売を決めた。
商品は橘湾の養殖事業者が生産する「ゆうこう真鯛(まだい)」に長崎県産のサバフィーレやアオリイカ、ヒラス、「対馬あなご」を詰め合わせ。商品の販売趣旨に賛同するチョーコー醤油(八千代町)から提供を受けた刺し身醤油をセットにして発送する。商品1点購入ごとに2,000円または5,000円を、養殖事業者に義援金として寄付できる。
「商品を企画したときは気持ち程度の支援ができればと考えていたが、9月中旬の発売と同時に大きな反響があり、想像以上の支援を頂いている」と話す久保井さん。販売期間の延期を決め、「関心度の高さを含めて養殖事業の再スタートに向け後押ししていきたい」と意気込む。
毎月月末に締め切り、注文翌月に商品が届く。販売は来年3月まで。