長崎の観光名所「眼鏡橋」(長崎市魚の町)から歩いて3分ほどのところにある人気スポット「裏眼鏡橋」が、隣接する建物の老朽化に伴う取り壊し工事で9月中に撤去されることになり、撤去を惜しむ人たちが最後の別れに訪れている。
この小さな橋は昭和40年代に「めがねのコクラヤ」(本店・万屋町)が鍛冶屋町に出した店の裏口として使われていたもので、出店の際に眼鏡の形をした欄干が取り付けられたという。既に店舗は移転したが橋はそのまま残り、誰が呼ぶともなく「裏眼鏡橋」と呼ばれて長年親しまれてきた。店があった当時は、裏口の方からわざわざ出入りする人が多かったという。
当時を知る田中潤介さんは「当時、私は近くの磨屋(とぎや)小学校に通っていたので45年以上昔だと思う。さるく観光のコースにも推薦させてもらい、本物の眼鏡橋の後に案内すると県外から来た人は特に喜んでくれた」と振り返る。コクラヤ創業者の次男で長崎創作雑貨店「たてまつる」(江戸町)店主の高浪高彰さんは「当時、幼稚園児だったが、たまに橋から落ちていたのを覚えている(笑)。思い出がたくさんあるので、ちょっと寂しい」と話す。