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長崎の歌手が幼稚園歌をギター弾き語り-ラジオ番組がきっかけ

果里さん

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 長崎在住のミュージシャン・果里(かりん)さんがギターの弾き語りで歌う幼稚園の園歌が同園のホームページに掲載され、「幼稚園の園歌とは思えない」と保護者らの口コミで話題が広がっている。

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 果里さんが歌ったのは淵神社(長崎市淵町)境内にある宝珠幼稚園の園歌。同園歌は1972(昭和47)年の幼稚園開園時に、下條一仁園長の親族に当たる菅沼治盛・溥夫妻が作詞・作曲して贈ったもの。菅沼夫妻は当時としては珍しく夫妻ともに神職として産土神社(大阪市)に奉職しており、幼稚園を創設した下條園長の父親に対する深い慈愛の気持ちと、園の発展への願いを園歌に託したという。歌詞には真っ白な桜の花に囲まれた情景が歌われているが、当時は原爆の被害でその姿は失われていた。同園ではその思いを引き継ぐかのように開園以来、園児たちが卒園するたびに少しずつ桜の植樹を実施。現在では園庭に隣接する参道周辺が歌詞の通り真っ白な桜の花に囲まれる情景が春の風物詩となり、地元テレビで中継されたこともある。

 果里さんが「園歌」を歌うことになったきっかけは、同園の卒園生でもある歌手・福山雅治さんのラジオ番組。10月12日放送の同番組内で、毎年9月末に行われる同園の運動会の話題が静岡のファンから投稿されたことから、福山さんが幼稚園の園歌を覚えているかという話題に発展。福山さんが「そんなの覚えてないよ」と答えたことから、同園には放送後に全国のファンから「どんな歌なのか?」という問い合わせの電話が殺到した。

 下條園長は「幼いころに歌った園歌を覚えていないのは無理もないこと。しかし、どんな歌ですかと聞かれても電話口で私が歌うわけにもいかず」と困惑。知人に解決策を相談したところ、「歌詞がとてもいいし、知り合いの歌手にギターの弾き語りで歌ってもらい、ホームページに掲載したら」と果里さんに歌唱を依頼して実現した。

 果里さんは長崎市出身。1990年から長崎でバンド活動を始め1994年に上京。アーティストの仮歌(実際に歌う歌手に曲のイメージをつかんでもらうために代わりに歌うこと)やコーラスを務めた後、渋谷を中心にライブ活動を開始。その後、東京を中心に関西方面まで活動範囲を広げて2006年に長崎に帰郷。現在は長崎を中心に音楽活動を行っている。戦死した叔父のことがきっかけで作った「重たい銃」を今年4月リリースのアルバムに収録。平和への思いを独自の視点で歌い上げた同曲は多くのメディアで取り上げられた。

 果里さんは「大好きな子どもたちのためにと引き受けた。園歌歌手デビューです」とほほ笑む。下條園長は「福山さんの何気ない一言がこんな風に発展するとは夢にも思わなかった。この歌には亡くなった親族から私たちに託された思いがこもっている。ぜひ多くの人に知ってほしい歌だったのでうれしい」と話す。

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