長崎出身の歌手など8人が東京で「じげもんライブ」-全員に「もってこい」

照明をセッティング中の竹本孝之さん

照明をセッティング中の竹本孝之さん

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 長崎出身の歌手など8人が集まって歌う「じげもんライブ in 東京」が6月21日、東京・渋谷の国連大学本部ビル(東京都渋谷区)前庭地下1階で開かれ、在京の長崎出身者など約150人が楽しんだ。

出演者の集合写真

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 「じげもん」とは長崎の方言で、地元出身者などを意味する言葉。長崎出身の歌手・竹本孝之さんが33年前に16歳で上京した時、がむしゃらに働きながら大きな孤独感に包まれていた自身の体験を基に「大きな夢を胸に上京してくる後輩たちに同じ思いをさせたくない」と「じげもんシンガーの会」を結成。今回、最初のイベントとして開いた。竹本さんは数年前からライブの構想を持っていたが、当初は周囲から実現は難しいと言われていたという。

 竹本さんは「シンガー自身がライブをつくり上げる」ことにこだわり、自身は照明設備を提供。セッティングも竹本さんが自ら担当した。音響設備を担当した川田金太郎さん(55)は東日本大震災以降、雲仙市国見町の自宅から毎年、30時間かけて東北まで復興支援ライブに出掛けている。今年の東北ライブ終了後、自宅から運んだ音響機材を再び積み込んで今回のライブに参加したという川田さんは参加歌手の中で唯一「じげもん」ではなく東京都出身。都内で印刷業を営む家に長男として生まれ、高校を3日で中退。アルバイトでためた4万円を持って自転車で日本一周の旅に出た。途中、親切にしてくれた人に通帳ごと金をだまし取られ人間不信に陥ったことも。息子を思う心労に耐えながら応援してくれた母の元に帰ったのは6年半後。母から言われた一言は「お前にできる唯一の親孝行は親より先に死なないこと」。1994年、雲仙普賢岳災害の義援金を届けようと東京のバイク仲間と募金行脚をしながら島原を訪れ、島原の風土にほれ込んでそのまま移住したという。

 そのほかの出演者は上奥まいこさん、松尾貴臣さん、Miyukiさん(以上、長崎市出身)、草野仁さん、タナカハルナさん(以上、大村市出身)、諸岡ケンジさん(佐世保市出身)の6人。ライブ会場となった「スタジオB1」は地下にあるトレーニングスペース。普段はトレーニング設備が並んでいる会場をメンバーらが手分けして手作りのライブ会場へと変えていった。受け付けには参加する歌手がそれぞれのパンフレットを用意して開演を待った。

 ライブが始まると、MC役の竹本さんが長崎弁で司会進行。川田さんとコミカルなやり取りをするなど大いに会場を盛り上げた。ライブはそれぞれの歌手が3曲の持ち歌を披露。会場のあちらこちらから、「もってこい(アンコールの意味)」「ヨイヤー(出来栄えをたたえる意味)」「ショモウヤレ(所望やれ・踊りなどに対するアンコール)」など長崎独自の応援の声が響き渡った。長崎出身者で都内在住の男性は「まさか渋谷で長崎弁づくしのライブが聴けるなんて最高の時間」と上機嫌だった。ライブ終了後、参加者らは東京や長崎の協賛各社が用意した「しょうゆ」「ちゃんぽんのカップ麺」「かまぼこ」などの土産を手に笑顔で会場を後にした。

 長崎からも数人が上京して参加。その一人、榎島英巳さんは「今まで旅行した中で最高の旅。こんなに面白いライブに参加できてうれしい」と振り返る。竹本さんは「ここからが始まり。どんどん若い人たちにも受け継いでもらい、『じげもんの輪』を広げていってほしい」と締めくくる。

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