長崎市出身の彫刻家・富永直樹と日本画家・松尾敏男にスポットを当てた展覧会「長崎県名誉県民 富永直樹/松尾敏男」が4月23日、長崎県美術館で始まった。
1913(大正2)年に長崎市で生まれた富永直樹は東京美術学校(現・東京芸術大学)在学中に文展(現・日展)に「F子の首」で入選。日展を主な舞台とし、戦後日本の具象彫刻をけん引する活躍を見せた彫刻家で、スポーツマンを中心とした健やかな男性像を中心に、「堅実かつ躍動感に満ちた身体表現による人物像を発展させた。歴史や異文化に取材したテーマなど、生涯を通じて自らの新たな境地を探求し続け、1990(平成2)年に長崎県名誉県民顕彰を受けた。
1926(大正15)年生まれの松尾敏男は3歳まで長崎市で過ごし、17歳の時に日本美術院の同人だった堅山南風に入門。戦後に新進気鋭の日本画家としてスタートを切った。当時は、戦時中の国粋主義の反動から、日本の伝統文化と見なされた日本画にとって風当たりの強い時代だったが、日本画のアイデンティティーを改めて模索し、新しい日本画の創出を目指した。
長崎が生んだ2人の巨匠にスポットを当てた同展。富永の作品は肉体にみなぎる生命感というスタイルを確立した1950年代の作品から、キリスト教や歴史といったロマンチシズムあふれるテーマに挑戦した1970年代ごろの作品までのほか、家族が飼っていたペルシャ猫を主役にした「大将の椅子」など27点を展示。富永の師匠だった北村西望や弟子の松田安生さんらの作品も並ぶ。
花に魅せられた画家としても知られる松尾敏男の作品は、こだわりを持って取り組んだモチーフであるボタンを描いた作品だけでなく、伝統的な日本画の題材としては取り上げられたことがなかった、壊れた船や鳥の骨、ミイラなどをモチーフにした作品も並ぶ。最晩年を迎えた師・堅山南風を描いた「南風先生像」や同作を描くきっかけとなった堅山南風が描いた「大観先生像」も展示。「故郷・長崎を描いたことがない」という心残りから2013(平成25)年に名誉県民顕彰を受けたことをきっかけに長崎の夜景を描いた「長崎旅情」も並べるほか、絶筆作品で日本画の源流に立ち戻るかのようにボタンを描いた「玄皎想」は弟子の那波多目功一が描いた「寂」と共に並べる。
5月23日、6月7日・27日の14時から、学芸員によるギャラリートークを行う。参加無料(要観覧券)。先着200人。5月30日にワークショップ「松尾敏男作品を読み解く 岩絵具体験」、6月6日に「さわって感じる彫刻のじかん」も行う。ワークショップは要事前申し込みで抽選制。
開館時間は10時~20時。入館料は、一般=1,200円、大学生・70歳以上=1,000円、高校生以下無料。期間中の休館日は4月27日、5月11日・25日、6月8日・22日。6月28日まで。