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長崎「かなやバーガー」を客の熱い要望で復刻-毎日20食限定、長崎和牛入り

毎週通っているという石橋さつきさん(左)と松野夏陽子さん(右)

毎週通っているという石橋さつきさん(左)と松野夏陽子さん(右)

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 長崎・中通り商店街にある「とぎやバーガー」(長崎市古川町、TEL 095-826-7783)が11月1日、現在地へ移転する前の人気メニュー「かなやバーガー」を客の度重なる要望に応えて復刻販売を始めた。

復刻した「かなやバーガー」

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 同店は和食料理人だった小河邦夫さんが2004年、手作りご当地バーガーを提供する店として現在地から800メートルほど離れた長崎市金屋町にオープン。元料理人が食材にこだわる本格手作りバーガーとして多くのメディアにも取り上げられ、現在地への移転準備のため今年5月に閉店するまで近所の人だけでなく記事を読んで訪れる人など多くの客でにぎわっていた。

 現在の店名に使われている「とぎや」は、同店付近の旧町名「磨屋町(とぎやまち)」に由来する。江戸時代、鏡や刃物の研磨を専門とする「研師(とぎし)」が住んでいた職人町として栄えたエリア。紙すき職人がいた本紙屋町などとともに1966(昭和41)年、町名廃止された。おけ職人が住んでいた桶屋町のほか、鍛冶屋町、油屋町、船大工町などの町名が現存する。同町に隣接し、銀細工職人がいたという銀屋町もいったん同時に廃止されたが、現在は復活している。現在地の中通り商店街は長崎で最古の商店街で、始まりは今から380年前の1634年。江戸中期の寛永11年、江戸幕府の鎖国政策の一環として出島が完成した年に当たる。

 同店は長崎市が推進する「まちなかプロジェクト」のエリアに当たり、入居する建物は町屋風の建物の建設費を市が助成する「まちなみ整備助成金」制度を利用して町屋風に新築されたもの。小河さんの古くからの友人でもあるオーナーからの提案を受け、7月21日に「白バーガーのテークアウト専門店」として移転オープンした。現在は店内に小さなテーブルと椅子を2脚用意し、晴天時には屋外にもベンチや椅子を用意することでイートインにも対応している。

 小河さんは「ここに引っ越してからも以前のお客さまがよく来店される。以前に比べて店舗がかなり小さくなったので、白バーガー専門店としてメニューを大幅に絞り込んだ。しかし、『かなやバーガー』を復刻してほしいという要望が絶えないため、リクエストに応えることにした」とほほ笑む。小河さん一人で切り盛りしているため、毎日20食限定で提供するしかないという。

 長崎市役所(桜町)近くで働く石橋さつきさんと松野夏陽子さんは2年ほど前から「かなやバーガー」の常連客。現在も週に1回は事前に電話で注文を入れ、昼休みを利用して2人で一緒に来店している。「少し遠くなったが、歩ける距離なのでいい運動になる」と石橋さん。「白バーガーも好きだが、やはり『かなやバーガー』が忘れられない。念願だった復刻が実現してうれしい」とも。

 松野さんは「マスターがとてもフレンドリーで居心地がいい。今日は新メニューの和風鶏(とり)バーガーを楽しみにして来た」と笑顔を見せる。運ばれてきた「和風鶏バーガー」を口にした2人はそろって「おいしい」を連発。満足そうな小河さんを見上げると、「今度は『えびバーガー』を復刻して!」と口ぐちにリクエスト。突然のリクエストの声に小河さんは「とても無理。将来努力するので、どうか今は勘弁してください」と目を閉じながら2人に手を合わせ頭を下げた。

 復刻した「かなやバーガー」のパティは長崎和牛入りに改良され、野菜とチェダーチーズをトッピングしたシンプルな味。価格は390円。同時に新発売された「和風鶏バーガー」は甘辛しょうゆだれにじっくり漬け込んだ鶏もも肉を蒸し上げてバンズにはさんでいる。価格は350円。

 営業時間は10時~20時。

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