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長崎セントラル劇場、「日系2世の記録映画」上映-監督の舞台あいさつも

松元裕之監督(左)と現在、長崎に在住するエディー・ヤマサキさん

松元裕之監督(左)と現在、長崎に在住するエディー・ヤマサキさん

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 セントラル劇場(長崎市万屋町、TEL 095-823-0900)で12月6日、ハワイの日系2世にインタビューを行ったドキュメンタリー映画「Go for Broke!」の上映が始まる。

日系人部隊の結団式

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 ハワイの映画祭「ホノルル・フィルム・アワード2012」でベスト・オブ・ハワイを受賞し、「マウイ・フィルム・フェスティバル2012」では1000本以上の作品の中から選ばれてプレミア上映された同作品。松元裕之監督らがハワイ在住の日系2世にインタビューを行い、作品の冒頭では2世が語る1世の移民当時の日系社会の様子などを紹介。その後、2世たちが体験した戦争の記憶や戦後の社会の変遷などを当事者へのインタビューを通して描いている。

 脚本、監督、撮影という一人三役をこなした松元さんは、1964(昭和39)年宮崎生まれ。岐阜県で育ち、成人してからは東京などで広告映像の仕事に携わっていた。2007年の秋、熊本在住の書家の友人が「マウイに行きたい」と突然電話してきたことが今回の映画化のきっかけとなる。

 「友人はガンで闘病中だった。マウイ島はアーティストの島として有名でさまざまなギャラリーも多い。友人は20年ほど前にマウイ島のことを教えてもらって以来、いつかマウイで書を発表したいと思っていたらしい」と話す松元さん。電話があった数日後、松元さんの身に偶然ながらマウイに行く用事が発生する。「運命を感じた。マウイに行って現地の熊本県人会に協力を要請した。残念ながら友人は願いが実らぬまま、その年末に帰らぬ人となった。それを知った現地の日系社会の協力で翌年にマウイ島で彼の遺作展を開くことができた」と振り返る。

 遺作展を開いた松元さんは、日系社会の地位向上に貢献した日系2世の功績を幼い子どもに伝える「カンシャ・プリスクール」という名前の幼稚園の存在を知る。ハワイの厳しい経済事情を知った松元さんは、日本から幼稚園をサポートできる仕組みを作れば、日系社会との関係性が一層深まると考えた。「アメリカでは日系人の社会的地位が極めて高い。それは太平洋戦争中活躍した日系2世の功労によるところが大きい」と説明する。遺作展で日系社会から受けた恩を幼稚園への支援という形で実現させようと考えた松元さん。その情報を広めるために映画を作ろうと試みた。

 松元さんが日系2世との交流を通じて一貫して感じたテーマは「恩を受けたら礼を返す」生き方。松元さんによると、日系2世はそれぞれ程度の差はあれ、日本を決して否定しない。その人なりの割合で「日本人としてのアイデンティティー」を心に秘めているという。

 「日系移民の歴史はハワイから始まり、日系人部隊もハワイから始まった。2世は辛酸を舐めてきた1世の苦労も、当時の日系社会の様子も覚えている。34人の日系2世をインタビューした。1924年に移民法が施行され、1952年に人種差別条項が撤廃されたのは日系2世の功績によるところが大きい」と話す。「ハワイと言えば真珠湾攻撃。ちょうど上映期間中に12月8日の開戦日を迎える。この映画は貴重な日系2世たちの証言を集めた『もう一つの日本史』に違いない。こういう時代だからこそ、歴史の証言をその目で確かめに来てほしい」と呼び掛ける。

 上映開始時刻は10時20分と17時40分の1日2回。料金は一般=1,800円~。6日10時、松元監督が舞台あいさつを行う。12月12日まで。

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