3月28日に開業予定の長崎駅新駅舎が3月7日、報道陣に公開された。
駅の移転は2010(平成22)年4月から長崎県が鉄道を高架化することで踏切を除去し交通の円滑化と市街地の一体化を目的に行っているJR長崎本線連続立体交差事業によるもの。JR長崎駅がある尾上町から松山町にかけての約2.5キロの区間を高架化し、新長崎駅が70億円、新浦上駅が5億円をかけて駅舎を建て替えた。
新駅は、1階部分がコンコース、2階にホームの2階建て。港・街・山に向かい合う「顔」の創出を目指し公募でデザインを決めた。1階コンコースの一部には天材に長崎県産の杉材を使い、木のぬくもりを感じる空間に仕上げた。改札内に設置されたトイレ入り口と女性用トイレには波佐見焼でできたタイルを採用し、長崎らしさを表現。乗車券や旅行商品を扱うみどりの窓口は利便性の向上を狙って現駅よりシンプルな造りとしたほか、これまで壁で仕切られていた事務室をガラス張りにした。このほか開業時には、観光案内所とコンビニエンスストアを仮設で設ける。
ホームは港に面した頭端駅の特徴を生かし、「海への方向性」を感じさせる空間を目指す。柱などの構造物をホームから極力減らし、屋根に帆をイメージしたデザインを取り入れることで広く開放的な空間を確保。将来的には2022(令和4)年に開業を予定する長崎新幹線のホームと連続するデザインになる。
今後1年かけて現行の駅舎や線路を取り壊し、跡地利用に向けて工事を進める。西口からの出入りも可能となるよう、道路などの整備も進めるが、当面は現長崎駅改札口から350メートル徒歩で移動してホームに出入りすることになる。
JR長崎駅の砥綿陽介駅長は「ホームから360度見渡せる、長崎の海・山・風・自然を感じてもらえる駅になった。駅周辺が再開発で盛り上がっているように思われる部分もあるが、長崎全体の発展のために駅からの回遊を意識しながらまちづくりに協力していきたい」と話し、「効率化で駅員も少なくなっているが、高齢者やハンディキャップを持つお客さまにも不便を感じないよう積極的に声を掛けるなど、人ではないとできないソフト面に注力し、『優しい駅』になるよう駅員一丸となって努力していきたい」と意気込む。
線路の切り替え工事に伴い、今月27日22時11分博多発長崎行きの特急かもめ47号と23時57分長崎発諫早行き普通列車は運休。諫早行きの臨時特急かもめ71号と代行バスを運行する。