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長崎で映画「爆心 長崎の空」完成披露試写会-北乃きいさんら登壇

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 ユナイテッドシネマ長崎(長崎市尾上町)で6月5日、映画「爆心 長崎の空」の完成披露試写会が行われ、原作者の青来有一(せいらいゆういち)さん、日向寺(ひゅうがじ)太郎監督、主演女優の北乃きいさんらが舞台あいさつに立った。

左から日向寺監督、北乃さん、青来さん

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 青来さんの本名は中村明俊さん。長崎市出身で現在、長崎原爆資料館館長。1995年に「ジェロニモの十字架」で第80回文学界新人賞を受賞し作家デビュー。2001年には「聖水」で第124回芥川賞受賞。2007年に映画の原作となった連作短編集「爆心」で第18回伊藤整文学賞、第43回谷崎潤一郎賞をダブル受賞した。

 北乃さんは被爆3世の女子大生・門田清水(かどたきよみ)を演じる。映画の舞台は戦後70年近くたった長崎市。母とささいなことでけんかした清水は、彼氏とホテルで過ごしているときに母からの電話にわざと出なかった。しかし母は電話の直後に心臓発作で急死する。一方、稲森いずみさん演じる高森砂織は、杉本哲太さん演じる新聞記者の夫との間に生まれた愛娘(まなむすめ)をちょうど1年前に突然失い喪失感を抱えたまま生きている。原爆投下で多くの人が突然明日を絶たれた長崎を舞台に、家族を突然失った人々の心の葛藤をそれぞれの視点から描きながらストーリーが進んでいく。

 舞台あいさつで日向寺監督は「長崎には何度も来たが、来るたびに人の優しさに触れ嫌な思いをしたことがない。長崎の人がなぜ優しいのかと考え抜いたとき、土地が人をつくるのだろうと気付いた。キリシタン弾圧から被爆、災害まで多くの受難、喪失からどう立ち直るか。原作をあまりなぞらず自由に生きることの素晴らしさを描かせてもらえた」と振り返る。

 「背景は夏だが実際の撮影は2月。息が白くならないように口に氷を入れて体を冷やしながらの撮影は大変だったが、映画は自然に夏に見えたので頑張ったかいがあった。長崎ロケは数日だったが、総菜屋のおばあちゃんに親切にしてもらったのがうれしかった。どん底に落ちても小さな希望を探して生きていく力を秘めているのが人間だと、演じながら教えられた」と北乃さん。舞台あいさつ前にマネージャーにポップコーンを買いに行ってもらった際、「爆心キャンペーン中です」と100円引きしてもらったエピソードも披露。観客の笑いを誘った。

 「主人公の清水が自転車で長崎の街を走り回るようすを見てもらいながら、特に長崎以外の人に(その背景にある)何かを感じてもらえれば」と青来さんは締めくくった。

 「TOHOシネマズ長崎」「ユナイテッド・シネマ長崎」「岩波ホール(東京)」を皮切りに7月13日から順次全国で公開。

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