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長崎・中通りに「長崎オリジナルポップコーン専門店」-明治の町家を改装

来店を呼び掛ける向井虹弥店長

来店を呼び掛ける向井虹弥店長

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 長崎市中心部の中通り商店街に5月13日、「ちゃんぽん」味や島原の「具雑煮」味などユニークな長崎オリジナルポップコーンを提供する専門店「長崎の路地裏カフェ」(長崎市古川町、TEL 095-895-8997)がオープンした。

店頭の様子

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 長崎出身で東京在住の社長、藤原里奈さん(28)は2006年10月~2009年4月、テレビの旅番組「るり色の砂時計」の7代目ナビゲーターを務めた。番組卒業後、今後の人生をどう過ごしていいのか迷った藤原さんは当てもなく上京するが住むところが確保できず、一時期はバックパッカー生活を余儀なくされる。その後、マッサージの資格を取ったり、アロマやデザイン、モデルの仕事に関わったり、さまざまなことにチャレンジ。「ポールダンサー」としての人気も出てきた。ある日、「ポールダンサーとして40歳になった自分が想像できない」と、突然不安を覚えた藤原さんは「自分探し」のために出掛けたスペインで、「今まで見たことがない」ポップコーンに出合う。

 「カラフルなパロミータス(ポップコーンのこと)を見た瞬間、私の中に衝撃が走った。子どもから大人まで『楽しい』気分にさせてくれる。みんながハッピーになれる。即座に『自分で作りたい』と思った」。藤原さんは興奮しながら東京に帰り、ポップコーン作りに取り組もうとしたが、「どうしていいのか、さっぱり分からない」。友人や知人の協力を得て、食品や化学の専門家にアドバイスをもらいながら独学で研究。長い時間をかけて、ようやく独自の味付けを施したポップコーンが完成する。2011年12月、藤原さんは「オリーブポップコーン」(東京都台東区)を設立。「レモンティー味」「ローズ味」「いちごみるく味」など、品ぞろえの充実と並行するように、東京から千葉、神奈川、静岡、大阪、福岡と、取扱店も徐々に拡大していった。

 旅先でのひらめきと、五里霧中からの成功。自分のインスピレーションに心からの確信が持てた藤原さんに故郷長崎への熱い思いが芽生えた。「自分自身が長崎から離れたからこそ、長崎の本当の良さが見えてくる。長崎にしかない独自のポップコーン専門店を作りたい」と決意して、「雲仙ソルトのキャラメル味」「長崎カステラ味」(以上540円)、「長崎ちゃんぽん味」(432円)や「島原薬膳・具雑煮」(540円)など、長崎にこだわった14種類の商品を開発。パッケージは長崎の食文化「和華蘭(わからん)」のイメージをそれぞれ順に表す、「緑」「赤」「紫」の花をデザインしたものを用意した。「和華蘭」とは、中華料理(華)と西欧料理(蘭)を日本化(和)した卓袱(しっぽく)料理など、長崎独自の食文化を指す言葉。店のロゴには唯一世界に開かれていた出島のイメージとして、羅針盤のデザインを取り入れた。

 出店場所を探していたところ、中通りにある古い町家に出合った藤原さん。1階部分を専門店用にリフォームしていた施工業者からの報告で、2階部分に明治期の建物の雰囲気が漂う梁(はり)や、現在ではなかなか入手できない古い電線、碍子(がいし)が残っていることが判明。急きょ計画変更して上階も小さなカフェとして改装した。むき出しの梁を見せ、古い電線をつないだ碍子をインテリアとして梁に沿って配置。カフェの椅子やテーブルのデザインにもこだわった。提供するコーヒーは、長崎に伝来したといわれる焙煎(ばいせん)コーヒーを高知から取り寄せ、和紙のフィルターでゆっくりドリップする。メニューは丸く切り抜いた和紙に筆で手書きしたもの。4卓、10席を用意する。

 長崎市内在住の女性客は「職場の上司がお客さまからポップコーンを頂き、おいしいと教えてもらったので来店した。『雲仙ソルト味』『ちゃんぽん味』が気に入ったので買って帰る」と話していた。向井虹弥店長(22)は「自分はまだ若く経験も浅いが、こんな楽しい店を任せてもらえて本当にうれしい。商品を入れてギフト用に使える厚手のオリジナル布バッグ(540円)も用意している。ポップコーンは試食もできる。ここでしか手に入らないので、ぜひ食べに来てほしい」と来店を呼び掛ける。

 営業時間は10時~19時。

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