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身内だけの味「紅焼鳥」、長崎の中華店「福寿」が50年ぶりに商品化

福寿の関係者のみで約50年間食べられてきた「紅焼鳥」

福寿の関係者のみで約50年間食べられてきた「紅焼鳥」

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 長崎中華街にある中華菜館「福寿」(長崎市新地町、TEL 095-821-3032)の創業者が開発し、以来約50年間にわたり身内だけに食べられてきた「紅焼鳥(ホン・シュー・ケイ)」が近く商品化される。

「こりゃうまかばい」-内輪で行われた試食会の様子(関連画像)

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 焼鳥は中国福建省の言葉で、鶏の丸焼きを意味する。1945(昭和20)年創業の同店では、昭和30年代に創業者の故・黄永珠さんが故郷の味を世話になった人や親戚などにお歳暮代わりに贈ろうと、年末に作って配り始めたのがきっかけ。今もその伝統は引き継がれ、毎年30羽程度を配っているという。

 「小ぶりの鶏をゆがき上がる少し手前までゆがいてからしょうゆだれで煮込み、油で色が付くまで揚げる。その後、煮汁を絡ませて味を調えるが、煮すぎると硬くなるなど加減が難しく手間がかかる。当時、私は学生だったが年末になるとこれを作ったり、配達したりするのを父によく手伝わされた。この香ばしい香りを嗅ぐと年の瀬を感じる」と懐かしそうに話すのは2代目店主の黄醒彦さん。

 通常、中華店で使われる鶏の大きさでは大きすぎることから特別に小ぶりの鶏を用意してもらうため、仕入れが割高になるという。「子どもがたくさんいる家では、丸焼きのままを囲んでワーワー言いながら競い合うように手でちぎって食べる。これがとてもいいコミュニケーションになると、ずっと喜ばれてきた。13歳くらいの時にたった1人で日本に渡ったという父。私にとっては偉大な父が残してくれた味を少しでも多くの人に楽しんでもらえれば」とも。

 見た目の色から商品名は「紅焼鳥」を予定。箱詰めのパッケージで、価格は3,500円程度を考えている。ただし、材料の手配などの関係で注文当日にはできない。配達は行わず、注文客が同店で受け取る。冷蔵庫での保存は可能だか味がすぐに落ちるため、その日のうちに食べるのが理想だという。「半世紀の間、身内だけで食べてきた味が商品化できたら、ぜひ一度食べてほしい」と黄さん。

 営業時間は11時~14時30分、17時~20時30分(オーダーストップ)。

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