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若者にも人気の伝統行事「竹ン芸」、長崎・若宮稲荷神社で奉納迫る

昨年の竹ン芸の模様(画像提供=Yuki@chikAさん)

昨年の竹ン芸の模様(画像提供=Yuki@chikAさん)

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  長崎市伊良林(いらばやし)地区の若宮稲荷神社(長崎市伊良林2)で10月14日・15日に行われる大祭で、若者にも人気の伝統行事「竹ン芸」が奉納される。

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  若宮稲荷神社は1673年、出来大工町の乙名若杉喜三太が自宅に祭っていた楠木正成公の守護神、若宮稲荷五社大明神を伊良林に移して社殿を創建したといわれている神社。

  竹ン芸は、19世紀前半から同市諏訪神社の長崎くんちで奉納されていたが、7年に1度でなく毎年見たいとの思いから1896(明治29)年から若宮稲荷神社で公開されるようになったのではないかといわれている。

  内容は同社境内にそれぞれオダケ(男竹)、メダケ(女竹)と呼ばれる高さ10メートルほどの竹を2本立て、白装束に狐面を被った若者2人がその竹に登り、笛と締太鼓、三味線の独特のおはやしに乗せて曲芸を披露するもの。オダケの頂上に十字に組んだ横木が固定され、間隔を置いて2本の横木が固定されている。一方、メダケには横木が15本固定されはしごのような形をしている。これらの横木は曲芸の際に足を引っ掛けるために使用される。国の選択無形民俗文化財と市の無形民俗文化財に指定されている。

  竹ン芸のはやし方は、山を超えた長崎市田中町中尾の中尾社中の人たちが今も支えており、両町は100年以上の時を超えて交流を保っている。

  2人の若者が扮(ふん)するキツネは、同神社の使いのキツネで雌雄のカップルだといわれ、祭りばやしに誘われたキツネが竹林で遊ぶ様子を表現しているといわれている。神社拝殿から背負われて竹に移動した2匹のキツネは、まず雄キツネがメダケに上り、途中で逆さまにぶら下がったり、横木に体を固定して水平になったり、頂上で腹部だけで体を支えて大の字になったりとアクロバットのような演技を披露する。続いて雌キツネもメダケに上り同様に演技を披露。2匹のキツネは順次メダケからオダケに移動するが、両方の竹に橋を架けるように体を固定したキツネの腹部に一方のキツネが両手でぶら下がったり、オダケの頂上から餅などをばらまいたりする。そのサーカスのような演技に下から見上げる観客は肝を冷やされる。クライマックスには懐から生きた鶏を出し、空中に鶏を飛ばすと会場から一斉に拍手が沸き起こる。

  若者2人の演技に先立って、同じように白装束でキツネに扮した子ども2人が、高さ5メートル程の2本の竹を使って竹ン芸の中の簡単な演技を披露する。同神社の境内はあまり広くはなく車も入らない場所にあるが、圧巻の演技で非常に人気が高い行事のため神社周辺は見物の群衆で毎年身動きが取れなくなる。

  昨年の様子を収めた写真を提供した長崎市内在住のYuki@chikAさんは「特に20時からの演技は夜の闇の中で白い狐が演技するため、幻想的でファンタジック。混雑はするが100年前から若いカップルのデートには欠かせない行事」とほほ笑む。

  公開時間は、14日=14時~・20時、15日=12時~・15時~・20時~。現地には車で行くことができないため、多くの人が市内の有料駐車場を利用して徒歩で移動する。

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