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長崎・コクラヤで「色えんぴつ画」個展-九十九島の自然を描く

来場を呼び掛ける古川武俊さん

来場を呼び掛ける古川武俊さん

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 コクラヤギャラリー(長崎市万屋町)で1月9日から佐世保市在住の色鉛筆画家・古川武俊さんの個展「光をもとめて・色えんぴつ画展」が開かれている。

作品例

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 古川さんは1954(昭和29)年、北松浦郡佐々町に生まれ、中学3年の時に佐賀県有田町に移住した。有田工業高校デザイン科でグラフィックデザインを中心に学び、九州産業大学芸術学部デザイン科でビジュアルデザインを学んだ。卒業後は福岡市内の広告代理店に勤務。夢と希望と現実の間で社会の厳しさを痛感しながら、デザイナーと営業の両方を体験した。1980(昭和55)年、西肥自動車(佐世保市)にデザイナーとして入社。会社のロゴデザイン、貸し切りバスや高速バス、路線バス、同社が出資する第三セクターの松浦鉄道車両のデザインなどを手掛けた。佐世保市民展デザイン部門の審査員なども務める。

 独自の色鉛筆画を描くようになったのは、6年前に悪性のリンパ種を発病したのがきっかけ。管理職として多忙な最中に病に倒れた古川さんは腫瘍摘出手術を受け、辛い化学療法は半年に及んだ。入院する暗いがん病棟の中で、生来明るい性格の古川さんでも気持ちが落ち込む中、一人の70代の男性との出会いが運命を変えた。中学卒業以来、絵など一度も描いたことがなかった男性は、古川さんがデザイナーであることを知り自分が描いている絵を指導してほしいと依頼した。男性は病室の窓から見える九十九島の景色を描きながら、息が詰まるような入院生活を克服しようとしていた。当初は戸惑いながらも指導を進めるうちに古川さんの気持ちにも大きな変化が現れた。

 「絵を描いたことがない人でも希望を求めてこんなに頑張っているのに、今の自分自身は何だ」と感じた古川さん。自分自身も夢中になって色鉛筆画を極め、退院後に会社を退職。現在は佐世保市内で作家活動を中心に絵画教室を開き、色鉛筆画を指導している。

 「暗い病棟にいると光が恋しくなる。これらの絵を見た人から『この絵には光がありますね』と言われて自分が無意識に光を求めていることに気づいた。九十九島の景色には本当に心が洗われる。抗がん剤治療中もクラプトンを聞きながら早く帰りたいと祈った。手前みそだが自分の絵が誰かの気持ちの支えになれば」と話す。

 開場時間は10時~19時(14日は17時まで)。入場無料。14日まで。

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