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長崎で焼き肉店チェーン「キノシタ」木下眞行社長が講演

木下眞行さん

木下眞行さん

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 長崎県建設総合会館(長崎市魚の町)で6月26日、大阪を拠点として焼き肉店や肉鍋店を中心に全国展開する「キノシタ」の木下眞行社長が講演した。

 長崎のエステサロン経営者など、主に女性が集まる団体が主催する勉強会に招かれた木下さん。勉強会終了後、壇上に立つと「いつもは痩せているが、食事した直後なので今はむくんでいる」とあいさつ。お笑いコンビ「TKO」木下隆行さんの実兄に当たる木下さんは「弟が芸人なのはご存知かと思うが、母までタレント事務所に入った。事務所の先輩に中学生タレントの『まえだまえだ』さんがいるが、母は『兄さん』と呼んでいる」と約50人の参加者を笑わせた。

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 「子ども時代は父が菓子問屋の経営者。クラウンに乗る金持ちのボンボンで、いい生活をしていた。それが1977(昭和52)年のオイルショックで倒産した時から生活が一変した」と木下さん。父親から「今日から新しい名字に変わる」と告げられたが、新しい名字は「山下」という答えに「どうせなら早乙女とか伊集院が良かった」と笑わせながら、壮絶な実体験を話した。

 「商売人は不安定だから堅い仕事に就け」と母親に言われて銀行に就職。しかし23歳の時に父親が急死したことで事情が一変する。億単位の借金を背負うことになり「堅い仕事はすぐに辞めて商売に専念しろ」と母親に言われ、「どっちやねん?」と突っ込んだ。1989年11月、4年間勤めた銀行を辞め、大阪府四條畷(しじょうなわて)市で15坪、28席の焼き肉店を開業。さまざまな失敗を繰り返しながら、少しずつ口コミの力で繁盛するようになる。

 勉強会のテーマ「集客」についても持論を展開。「飲食業界は利益率が本当に低い。10~15%あればいい方」としながら、大きな身ぶりで「一番の悩みは宣伝広告費」と話すと、多くの参加者がうなずいた。「そのほかにも人件費が大きいし、光熱費、公共料金、ありとあらゆる経費がかかった挙げ句、お金以外のことでも不安材料はたくさんある」。参加者の中には、木下さんの言葉を熱心に細かくメモする人も見られた。

 「皆さんも大変だと思うが、51店舗も展開している私は『やってしまった』と途方に暮れている。ちょうど50歳の今が反省期(半世紀)」と話した後、木下さんは「非常に利益率が薄い業界で、さらに無理を強いられていることが食の安全まで脅かしているという深刻な事実がある。これを何とか解決したい」と真剣な表情で訴えた直後、わざと慌てた様子で「うちは安全。どうか信じて」と大げさな手ぶりで笑わせた。

 「皆さんにぜひ提案したいのは、送客という考え方。ほかより自分のところにお客さまを集めて競争する集客ではなく、信用できるほかの店にも快く自分のお客さまを送って『共創する』という考え方。それぞれの『自分の客』は少数でも互いに送客をすれば、結果的に自分の店も多くのお客さまであふれるようになるはず。何ごとも根拠のない夢から始まるが、同じ考え方の仲間が全国に増えたら絶対に実現すると信じている」と結んだ。

 勉強会を主催した女性経営者は「失礼ながら弟さんより面白いかもしれない。ユーモアを交えながら私たちのシビアな現実に夢を与えてもらった。経営規模の大小にかかわらず、経営者の悩みは共通する。これからも団結して、みんなで悩みを解決していきたい」とほほ笑む。

 講演を終えた木下さんは「皆さんの熱意に圧倒された。こんな私でも役立つことがあれば、これからもぜひ力になりたい」と話した。

 著書に「人生がうまくいく1%の人が知っている一番大切なこと」(KKロングセラーズ刊)、「飲食店が愛され続ける5つの秘密」「ダメダメ焼肉店長が語る 商売繁盛でいこうや」(以上、しののめ出版刊)。

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