「長崎くんち」始まる-1000人の「お下り」行列も

県庁前の大通りを歩く総勢約1000人の「お下り」行列。先頭は案内役の猿田彦

県庁前の大通りを歩く総勢約1000人の「お下り」行列。先頭は案内役の猿田彦

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 377年の歴史を誇る長崎・諏訪神社の秋の例大祭「長崎くんち」が10月7日、3日間の日程で始まった。

傘鉾(かさぼこ)行列の一コマ。手前は出島町の傘鉾

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 今年の踊町は紺屋町、出島町、東古川町、小川町、本古川町、大黒町、樺島町の7カ町。7時に諏訪神社境内で奉納踊りが始まり、同神社での奉納を終えた踊町は公会堂前広場、夢彩都横のお旅所と回りながら奉納踊りを披露。奉納踊り終了後はそれぞれ各町内の家庭や企業、店舗などの軒先で踊りを奉納する庭先回りが始まる。

 13時からは諏訪神社本宮からお旅所の仮宮まで諏訪、住吉、森崎の3基のみこしが行列を従えて行進する「お下(くだ)り」が出発。てんぐの面をかぶった案内役の猿田彦を先頭に、馬に乗った諏訪神社の神職や3基のみこし、保護者に手を引かれた稚児など約1000人の行列がゆっくりと行進した。行列の後ろからは、各踊町の傘鉾(かさぼこ)行列が続いた。傘鉾とは祭礼に用いる飾り鉾で、大きな傘の周囲に織物を垂らし、傘の上には踊町独特の飾りを施し、1人が心棒を持って歩く。踊町ごとにユニークな傘鉾を持っており、行列の際には町内の人は何人たりとも傘鉾の前を行くことは許されない。傘鉾の重量は130キロ~150キロにも及び、演技では一人で傘鉾を担ぎ、その場で何度も回転する。傘鉾が回転する際には見物人から盛大な拍手が起こる。

 行列は県庁で解散し、3基のみこしは休憩を取った後、再び県庁前で整列。県庁坂をお旅所に向かってゆっくりと下り始め、坂の後半にかかると、合図とともに一気に坂を駆け下った。その後お旅所に到着した3基のみこしは無事に仮宮に安置された。

 お旅所周辺は会期中車両の乗り入れが禁止され歩行者天国となり、数多くの出店でにぎわう。東京出身で全国をパントマイムの芸で旅しているという大道芸人の藤和三さんは「8年前から全国を回っている。長崎は初めての土地で、くんちのにぎわいに驚いた」と話す。藤さんが得意芸、トランクのパントマイムを披露すると通行人が足を止め、「すごい。どうやっているの?」と驚きの声が上がり、拍手が起こった。

 各踊町はそれぞれの日程に従って奉納踊り披露を続け、後日(あとび)の9日13時、3基のみこしがお旅所の仮宮から諏訪神社の本宮へ帰る「お上(のぼ)り」で幕を閉じる。お上りでは、県庁坂や諏訪神社の階段を3基のみこしが一挙に駆け上がる勇壮な姿が、その迫力で人気を集めるイベントの一つでもある。

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