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発達支援手がける「ユースリー」 短期入所施設開設に向けCFで協力呼びかけ

支援を呼びかける宮田さん

支援を呼びかける宮田さん

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 障がい児通所支援に取り組むユースリー(長崎市梁川町)が現在、医療的ケア児に対応できる福祉型短期入所施設の開設に向けてクラウドファンディングで支援を呼びかけている。

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 社長の宮田貴史さんは自身の子どもが障がいを持っていることがきっかけで理学療法士から一念発起して2014(平成26)年、障がい児通所支援を手がける事業をスタート。「障がい児を持つ親が安心して死んでいける地域を」をビジョンに掲げ、現在3事業所を運営するほか、グループ会社で訪問看護事業も手がける。発達支援から自立支援、就労支援まで線で支援できる体制を目指す。

 障がい児の夜間預かりが可能な短期入所(ショートステイ)施設は医療型と福祉型の2種類がある。医療型短期入所施設は病院などに併設され機材も充実していることから医療依存度の強い子どもには必要不可欠な反面、長崎市内で医療型施設は2カ所、県内でも4カ所しかない。短期入所施設そのものが不足していることから軽度の障がい区分の子どもの利用希望も多く、利用に2カ月待ちとなるなど慢性的な不足状態にとなっているという。

 同社が来年春の開設を目指す福祉型施設は、発達障がいへの対処にも長け、対象者も広いことから、軽度の障がい児の受け皿を増やすことで、「不足している医療型施設の負担軽減を目指すと同時に保護者が安心してレスパイト(休息)できる環境づくり」を目指す。

 短期入所施設の開設に向けて2年ほど前から準備を進め、土地や建物の取得も完了していた。ロシアのウクライナ侵攻などの影響による物価高騰のあおりを受け、費用が当初の見積もりから2倍近くに膨れ上がったことから、「計画そのものを断念することも考えた」という宮田さん。「医療的ケア児もその家族も笑顔にしたい」という思いから自らの報酬を削り、改修を縮小するなど計画を見直すことで資金繰りを図ると同時に、クラウドファンディングへの取り組みを決めた。集まった資金は設備投資の一部に充てる。

 「短期入所施設が慢性的に不足している背景には圧倒的に報酬が低い反面、人件費率が高いことから2014(平成26)年の経営実態調査でも収支差益が3.8%と他業種に比べても低いという背景がある」と話す宮田さん。「医療の進歩で助かる命が増えているため、少子化の中にあっても障がい児は増えている背景がある。一方で助かった命を支えていく社会の仕組みが追いついていない。クラウドファンディングで資金を募るだけでなく、障がい児やその親を取り巻く環境を知ってもらうきっかけにしたい」と話す。「私たちが成功事例を作ることで短期入所施設の開設を目指す他の事業者を後押しすることにつながれば」とも。

 クラウドファンディングは5月31日まで。

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