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長崎原爆資料館で「長崎国際平和映画フォーラム」-被爆テーマの朗読劇も

長崎原爆資料館の外観

長崎原爆資料館の外観

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 長崎原爆資料館ホール(長崎市平野町)などで11月21日から、「長崎国際平和映画フォーラム2014」が開かれる。主催は国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館。

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 映画を通じて「みんなで平和を考える」がテーマの同フォーラムは今年で5回目。映画上映や市民ボランティアなどによる朗読劇をはじめ、「NAGASAKI DAY」として地元テレビ局との共同事業で制作した原爆・平和関連のドキュメンタリー番組の英語字幕版を上映する。長崎在住の外国人が原爆や平和について知る機会を設けるのが狙い。

 上映する映画は8作品10本。「第五福竜丸」(1959年、新藤兼人監督)は1954(昭和29)年に米国がビキニ環礁で行った水爆実験で被曝したマグロ漁船と乗組員たちの悲劇をドキュメンタリータッチで描く。「放射線を浴びた【X年後】」(2012年、伊東英朗監督)は「もうひとつのビキニ事件」と言われる被曝の実体を追った南海放送(愛媛県松山市)のドキュメンタリー番組を再編集した作品。「真空地帯」(1952年、山本薩夫監督)は同名小説の映画化で、軍隊内部での「いじめ」をテーマとしている。

 「ひろしま」(1953年、関川秀雄監督)は被爆から8年後の作品で、広島の中学・高校生、教職員、一般市民など8万8,000人以上がエキストラとしてロケに参加。原爆被災現場の惨状を克明に描いている。「月光の夏」(1993年、神山征二郎監督)は太平洋戦争末期、佐賀の鳥栖国民学校(現・鳥栖小学校)を2人の特攻隊員が訪れ、ピアノ科の学生だった一人が最後の思い出にベートーベンの「月光」をピアノで弾いて立ち去る。演奏に立ち会った当時の女教師が老朽化のためにピアノが廃棄されることを聞きつけ、保存のために小学校で思い出を語る。実話に基づいた作品だが、作品の中で特攻にまつわる意外な事実が明かされる。

 「地下水道」(1956年、アンジェイ・ワイダ監督)は第二次世界大戦末期のワルシャワが舞台。ポーランドの地下レジスタンス運動家たちが地下水道に逃げ込んでドイツ軍と戦い、暗闇の中で出口がない恐怖や出られない絶望感を味わう。「地上に降りる」(2012年、ミハウ・ネカンダ・トレプカ監督)はドイツ兵から見たワルシャワ蜂起を解明する作品。蜂起軍やワルシャワ市民だけでなく、16歳前後の若いドイツ兵の証言も取り上げられ、ドイツ軍による当時の貴重な記録映像も織り込まれている。「戦争と人間」(第1部~第3部、1970年~1973年、山本薩夫監督)は五味川純平さんの同名小説の映画化。全3部作で構成され、上映時間は「人間の條件(じょうけん)」に次ぐ9時間23分に達する。張作霖事件からノモンハン事件まで激動の昭和初期を舞台に軍部の裏側で暗躍する新興財閥の姿などを描いている。

 22日13時10分からは無名塾俳優と朗読ボランティアによるオリジナル朗読劇「被爆と被曝」を上演。どちらも「ひばく」と読み漢字も似ているが意味は全く異なる。「被爆」は長崎や広島のように爆撃によって直接被害を受けることを意味し、「被曝」は放射線を浴びて曝(さら)されることを意味している。

 23日12時20分からの「地上に降りる」上映終了後、同作品のミハウ・ネカンダ・トレプカ監督によるシンポジウムが開かれ、同監督が歴史的事実や記憶の継承について話す予定。同日は「NAGASAKI DAY」として隣接する追悼平和祈念館交流ラウンジで英語字幕版によるドキュメンタリー番組4本を上映。同会場では特別プログラムとして高校生朗読劇「ヒロシマ ナガサキ」も上演する。内容は広島と長崎で被爆した二重被爆者を中心にさまざまな被爆体験が交錯していく物語。

 入場無料。同フォーラムへの来場者は原爆資料館の入館料も無料になる。11月24日まで。

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