長崎から山下南風の「切り絵トートバッグ」をネット通販

南蛮人のトートバッグ(横型)

南蛮人のトートバッグ(横型)

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 ギャラリーかぜ(長崎市西山2、TEL 095-822-5998)は9月、長崎の切り絵作家の作品紹介サイト「山下南風美術館」でオリジナルトートバッグのインターネット通信販売を始めた。

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 同サイトの紹介文によると山下南風は1917(大正6)年、長崎市西小島生まれ。16歳で京都に遊学し、画家・青山静山に師事。日本画を学ぶと同時に筑摩季三の工房で友禅染めの仕事に従事し、日本画を生かした染色の修業を行った。1954(昭和29)年から1965(昭和40)年まで県立女子短期大学の講師を勤め、昭和天皇の長崎行幸の際に県が献上した「行幸アルバム」の皮表紙制作や、オランダのベアトリックス女王に献上した洋風二曲屏風の制作などを手掛けた。長崎県美術展覧会(県美)審査員も務めている。

 独特の図柄は1971(昭和46)年ごろ、染色の調査のためヨーロッパを旅行した際にヒントを得たもの。長崎の歴史、風俗、町並みを描いた郷土色豊かな作品が多い。南風はオランダ船やカピタンなど長崎らしい切り絵図柄を考案し、伝統的な染色技法を使って作品を仕上げた。切り絵作品の制作には版画技法の一種・合羽摺(かっぱずり)を応用。合羽摺は強い耐水性の紙を用いてデザインしたものを切り抜いて版にし、和紙などに乗せた上から絵の具を塗って模様を摺り出す技法。江戸時代に京都などで盛んになり幕末まで制作されたという。1995(平成7)年没。

 店主の福田隆一さんは、実父・山下南風の作品を管理しながら同店を運営している。同サイト上では切り絵作品をベースに製作したオリジナルトートバッグ14点と、オリジナルポストカード6点(各5枚セット。900円)を販売する。

 トートバッグの生地は江戸時代に船の帆として使われた帆布(はんぷ)を使用する。帆布は木綿と麻を平織りにした厚地の布のこと。かばんやテントなどの素材として昔から使われている天然素材で、強度・耐久性・通気性に優れており静電気が発生しない。デザインは「南蛮人」5種類、「オランダ人」2種類で、それぞれ縦型(幅29センチ×高さ35センチ)と横型(幅34センチ×高さ33センチ)がある。価格は縦型が7,560円、横型が8,640円。送料無料。

 福田さんは「父が亡くなってちょうど20年。全国の人に少しでも父の存在を知ってもらえればうれしい。今後も新しい商品を開発したい」とほほ笑む。

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