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ビル倉庫から40年前の「庭先会議」録音テープ発見-8ミリフィルムなども

発見された8ミリ映写機、フィルム、カセットテープと、発見した野口みほさん

発見された8ミリ映写機、フィルム、カセットテープと、発見した野口みほさん

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 長崎のプルニエビル(長崎市古川町、TEL 095-895-7811)で9月、倉庫を整理した際に40年前の8ミリフィルムやカセットテープなど多数の資料が見つかり、発見した所有者の遺族が活用方法を模索している。

発見されたカセットテープと8ミリフィルム。フィルムにはきちょうめんな手書きメモが添えられている

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 発見したのは野口みほさん。野口さんは同ビルの元のオーナーで前・梅月堂社長の故・本田久喜さんの娘。同ビルは野口さんらの発案で、今年7月から布ナプキンの店やフィットネス、占いの店などが入る新しいコンセプトのビルに生まれ変わったばかり。今回見つかった資料は、リニューアルに伴ってビルを整理したときに偶然見つけたという。野口さんによると、久喜さんは映像機器やオーディオ機器の熱心なマニアで、スチールカメラや8ミリカメラ、映写機、オープンリールデッキなどの機材・周辺機器などを多数所有していたという。野口さんが幼いころの久喜さんは、自分の子どもたちを機会あるごとに8ミリカメラで撮影していた。

 「父は根っからのマニアだった。レンズやランプ類、三脚などの付属品や何だか分からない部品が大量にダンボール箱に入っていた。8ミリフィルムも大量に出てきたので、私や兄が幼いころの映像がこの中にあるかもしれないと思ったら、捨てるに捨てられなくなった」と話す野口さん。不要と思われるものは処分する傍ら、貴重な資料と思われるカセットテープを4本発見したという。

 「昭和49(1974)年8月5日『庭先会議』と書かれた3本組みのカセットテープを見つけた。もう1本は『長崎食文化塾』と書かれたテープ。かつての料亭・加寿美(かすみ)の高田泰雄さんが講演したテープで、昭和62年6月11日と記録されている。しかも場所は東洋軒。今はなき一世を風靡(ふうび)した場所だけに、これだけは絶対に捨ててはいけないと思った」と野口さん。梅月堂は長崎くんちの踊り町で東濱町(ひがしはまのまち)に当たり、昭和49年は出し物が従来の本踊りから竜宮船に替わった最初の年。「録音時間が2時間半の長時間なので、まだ完全に聞いていないが、そのいきさつが話し合われているかもしれない」と期待を寄せる。

 庭先会議のテープを再生した野口さんの耳に聞こえてきたのは、若き日の久喜さんの声。「まだ幼かったので当時の父の声はよく覚えていない。しかし兄(梅月堂社長・本田時夫さん)の声にあまりにもそっくりなので間違いないと思う。このテープには多くの人の声が記録されているが、ほとんどが現在の浜町の店の先々代に当たる人たちだと思う」。8ミリフィルムの多くは1973(昭和48)年前後のもので、KTN(テレビ長崎)主催の海外旅行の記録など。「当時、梅月堂がテレビコマーシャルを出していた。海外旅行がまだ珍しかった時代で、父らはテレビ局主催の海外旅行によく出掛けていた。当時は円相場が固定相場から変動相場制に移行する前後の景気がいい時代。何十年も昔に見た記憶では、当時の浜町の人たちが大勢映っていたのをおぼろげながら覚えている。きちょうめんな父らしく、細かいメモ書きが添えられているものもある」と、野口さん。

 映写を試みたが、発見された映写機では2台とも点灯するものの映写できなかった。野口さんが知人に調べてもらったところ、劣化して切れたベルトの交換が必要であることが分かった。しかし交換ベルトの入手先の情報や交換技術は持ち合わせていなかったという。

 「父の形見だが、ここに記録されているものは長崎の街にとっても貴重な資料になると確信している。できれば映写機を修理して、このビルで8ミリ上映会を行ったり、デジタルデータとして保存したりして皆さんに公開したい」と意気込む野口さんは現在、映写機の修理方法を探している。

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