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長崎の和菓子店、猫キャラ創作和菓子「にゃまがし」発売-猫好きの妻がリクエスト

左から「丸しっぽ」「かぎしっぽ」「ごぼ天しっぽ」

左から「丸しっぽ」「かぎしっぽ」「ごぼ天しっぽ」

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 長崎の老舗和菓子店「千寿庵 長崎屋」(長崎市新大工町、TEL 095-822-0543)が昨年12月、3匹の猫のキャラクターをモチーフにした新作和菓子「長崎オマガリ・にゃまがし」を発売した。

井上昌一さん(右)と妻の早恵子さん

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 1929(昭和4)年創業の同店。新商品を開発した井上昌一さん(37)は、2代目に当たる現社長・井上正和さんの長男として1977(昭和52)年に生まれた。長崎で高校まで学んだ後、広島大学工学部に進学。大学卒業を前に、じっくり進路を模索した昌一さんは「和菓子店を継ぎたいと思っている」自分自身に気付いた。昌一さんの思いを聞かされた正和さんは「自分と同じ苦労はさせたくない。悪いことは言わないから会社員になれ」と応えた。迷った結果、大学院に進学した昌一さん。大学院修了時にも和菓子店を継ぐ思いがどうしても捨てられず「跡を継がせてほしい」と再び正和さんに訴えたが断固拒絶された。

 仕方なく会社員になった昌一さんは3年ほど勤めたある日、「やはり思いは変わらない。どうしても和菓子店を継ぐ」と決意。どこまでも食い下がる昌一さんに、正和さんは家業を継ぐことを認めた。実家に戻った昌一さんは現在、3代目を目指して修業に励む。

 昌一さんの妻・早恵子さんはテレビドラマ「金八先生」第4シリーズ(1995年~1996年放送)に「樫木真穂」役で出演。その後、長崎の放送局でリポーターなどを務めていた時に昌一さんと知り合い、2011年1月に結婚した。

 猫が大好きだという早恵子さんから「猫の和菓子を作ってほしい」といつもせがまれていた昌一さんは昨年夏、「2014シュガーロード長崎スイーツコンテスト」の存在を知る。コンテストの募集テーマは「長崎をイメージした新しい菓子。条件は長崎県産品を使うこと」。昌一さんは「長崎名物の『尾曲がり猫』をイメージして、長崎県産のフルーツを使えばできる」と直感。作り始めてから完成まで1カ月を要した作品は、グランプリに相当する「長崎市長賞」を受賞した。

 「和菓子では『ねりきり』という材料を使うが、一番の問題は味の相性。非常に苦労したことが結果的に練り切りの常識を覆した」と昌一さん。試行錯誤の末、イチジク、イチゴ、ミカンのフルーツペーストを白餡(あん)で包み、さらに練り切りで包んで完成させた。「デザインの勉強をしたことは全くないがデザインを考えることは大好き。向かって左からイチジクの『丸しっぽ』、ミカンの『かぎしっぽ』、イチゴの『ごぼ天しっぽ』。一緒に考えている時の妻がとても楽しそうだった」と笑顔を見せる。

 1月24日、「尾曲がり猫の和菓子です。どうぞ、かわいいですよ」と浜町アーケードのイベント会場で呼び掛ける昌一さん夫婦の前で、多くの人が足を止めた。「かわいい」「面白い!」「ねえ、これ買って」。用意した商品は全て売り切れた。

 昌一さんは「この商品は非常にデリケート。ひげが折れる可能性があるため、残念ながら通販はできない。長崎に来たら、ぜひ立ち寄ってほしい」とも。価格は1,000円(税別)。

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