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長崎でベッド生活40年の女性が詩集出版-22編の「命」、妹が聞き取り完成

広がりを感じさせる写真とともに平田さんの詩を掲載

広がりを感じさせる写真とともに平田さんの詩を掲載

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 脳性まひで言語障がいと四肢まひを持ち、長崎市内の病院に約40年間入院している平田喜久代さんが8月中旬、詩集「きくちゃんの詩」を自費出版し話題になっている。

「きくちゃんの詩」を手に持つ妹の山口まゆみさん

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 平田さんは病気の影響で2003年に気管切開して以来、人工呼吸器がつながれ、声をかすかに発することができるのみの状態だが、妹の山口まゆみさんが介護をしながら、平田さんが作った詩をベッドの横で聞き取るなどサポートし、詩作を続けている。

 出版のきっかけは、昨年1月に平田さんが小学校に入学したこと。特別支援法が施行され、就学機会を逃した障がい者が希望すれば学齢期を過ぎいていても長崎特別支援学校に入学できる制度を利用した。「学校へ行くことが夢だった」という平田さん。そこで担任になった大原万里亜さんの勧めで詩を作るようになったという。

 25年前に詩集を出版したことがあるが、「気管切開してから生きることに一生懸命で詩は中断していた」と山口さんは話す。授業の中で「もう詩は書かない」と言っていた平田さんだったが、病室の壁に偶然映し出された虹に感激し、次の授業の時には「キラキラ」という詩を完成させていたという。大原さんを通じてその詩に曲を付け、曲や詩を披露するボランティア活動や市内の小学校で詩や平田さんのメッセージを伝える活動が今回、出版につながった。

 詩集には長崎の写真家・西澤律子さんが提供する写真24点も併せて掲載。「ベッドにいるきくちゃんが見ている風景だと感じた」という大原さんが西澤さんに提供を依頼した。

 「私にとって詩は自分の心の中にあるものを吐き出せる大切なもの。その詩を知らない人にも読んでいただけると思うと嬉しい。生きていて良かったと思う」と伝える平田さんの表情は明るい。

 「キラキラ」「更年期の小学生」「もったいないぞー」「愛の中で生きているよ」など22編の詩と、その詩をイメージする写真を収録。詩の間には、平田さんと山口さん姉妹がこれまで過ごしてきた時間を紹介するコラムや小学生と交流する記録も収録する。A5判全61ページ。1,260円。県内主要書店で購入できる。問い合わせは、ゆるり書房(TEL 095-828-1790)まで。

 9月14日14時から、メトロ書店(尾上町)で同詩集の朗読会と平田さんのビデオメッセージを伝えるイベントを予定する。

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