長崎の美容室「ビキン・クール」（長崎市目覚町、TEL 095-843-8877）で3月21日、美容師が集まり一日限定で東日本大震災の復興支援チャリティーカットが行われている。

レジに立つ奥村さん

　このチャリティーカットは通常4,200円で行うカットを1,000円で行い、売り上げ全額を日本赤十字社を通じて東日本大震災復興支援ために募金するもの。前髪だけのカットやアレンジなども500円で行うという。

　同イベントの発案者で同店オーナーの奥村俊之さん（42）は「大震災の発生から1週間ほど連日テレビの報道を見ていて、自分が何もできないことにモヤモヤしていた。ココウォークの目の前という目立つ場所に店があるし、美容師の腕を役立てる方法はないだろうかと考えた末、復興支援のチャリティーカットをやろうと思いついたのが2日前」と振り返る。

　長崎で生まれ育った奥村さんは東京や名古屋で修行を積み、10年前に長崎に帰ってきて地元の美容室で働いていた。2年前、ココウォークの開店とほぼ同時期に同店を開いた。

　「長崎は原爆を経験し長崎大水害も体験している。長崎に生まれ育った者として被災者のために何かせずにはいられなかった」という奥村さん。この話を美容師仲間にすると、自分も手伝わせてほしいという声が次々に広がったという。

　「今回のイベントは私の店で行うが、主体は店ではなく自分の技を復興支援に役立てたいという仲間たち全員のもの。普段のお客さまからも今回のイベントに必ず来るという声をたくさんもらっている。日頃の感謝と復興支援が同時にできて、これほどうれしいことはない」と笑顔を見せる奥村さん。

　カットを終えた森本文子さん（長崎市在住）は「イベントを知って初めて訪れた。ちょうど切りたいと思っていたし、切ることで貢献できて気分もいい。被災地は遠いし、自分が特に何かできるわけではない。こういう形で参加できて本当にうれしい。こんなイベントをもっと増やしてほしい」と笑って店を出た。

　チャリティーカットの時間は11時～17時。予約不要。