長崎原爆平和祈念で「詩の夕べ」-中原中也記念館館長も朗読

詩の朗読の後、オリジナル曲を弾き語る中原中也記念館の中原豊館長

詩の朗読の後、オリジナル曲を弾き語る中原中也記念館の中原豊館長

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 新興善メモリアルホール(長崎市興善町)で8月7日、長崎原爆平和祈念「詩の夕べ」が開催され、約20人の観客が平和を願う詩に耳を傾けた。

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 詩や短歌、絵などの制作活動をしている人が集まり、年に1回毎年8月9日ごろ、原爆の悲劇を繰り返さない平和な世の中へつなげていこうと祈りを込めた詩の朗読や弾き語りを行うイベント。今年で17回目。

 10人の参加者が、13編の詩とオリジナル曲を5曲披露した。今年は、3月11日に起こった東日本大震災および原発事故を題材にした作品が半数以上を占めた。

 中原中也記念館(山口県山口市)の中原豊館長は、同イベントに参加して今年で10年目。16年間長崎に住み、大学の教員をしていた。教え子に被爆2世3世がいることは特別なことではなく日常のことだった。長崎を離れた今もこのために毎年長崎を訪れている。「毎年、平和を願って詩を朗読している。原爆の問題を自分の中に刻んでおきたい。私が住む山口県にも原発の建設予定がある。広島、長崎の現実を十分踏まえて議論していかなければ」と話す。

 新聞で見て同イベントを知ったという鴨川弘さんは、原発の格納容器をひび割れた砂時計に見立てて詩を披露。「3月11日以降、何でもない日常がいかに大切なものだったか思い知らされる日々になった」と話す。

 会を主催する本村俊弘さんは長崎出身で現在は埼玉県に住み病院の職員として働きながら、長崎で発行される詩の同人誌に参加してきた。17年前、知人の誘いで被爆50周年の節目に長崎で行われた絵画展の同時企画として第1回「詩の夕べ」を開催。以来、こつこつと同イベントを継続してきた。

 「長崎に暮らしている人の言葉で日常生活をテーマにして平和の尊さを伝えたい。長崎は大切な街だという気持ちで毎年開催してきた。言葉には力がある。人は嫌なことは思い出したくないと思うが、表現することで心は癒やされる。来年も開きます」と本村さんは力強く語った。

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