長崎の「なぜか目立たない雑貨店」が英字新聞募集 作業所でエコバッグに再生

再生エコバッグを手にする竹山さん

再生エコバッグを手にする竹山さん

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 大型商業施設「イオン時津店」(時津町浜田郷)の隣に先月開店した「なぜか目立たない雑貨店」が現在、包装用に使う再生エコバッグを製造するため、不要になった英字新聞を探している。

浦川さんの母・聖子さんの製品

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 英字新聞を探しているのは、ウエルフェアトレード雑貨店「Rappo+(らぽプラス)」(同、TEL 095-894-5826)。ウエルフェアトレードとは「Welfare=社会福祉」と「Fair Trade=公正な取引」を掛け合わせた造語で、社会的弱者と呼ばれる人たちが手掛けた製品やサービスを適正な価格で購入・利用することで当事者の生きがいや自立を支援する仕組みのこと。

 店主の浦川隼さんは6月6日、定年退職したばかりの雑貨好きの母親と、自身が勤務する福祉作業所の仲間たちのために同店をオープン。予算が限られることから、内装など多くの部分を自分たちの手作業で作った。「私はきちんと給料をもらっているので、この店で自分の利益を得ようとは思っていない。母や仲間たちの役に立てばいい」と浦川さん。「その代わり大量生産品を取り扱わず、全て手作り製品にこだわる」とも。

 平日は福祉作業所「アトリエらぽ」(長与町高田郷)の施設外就労場所として同所スタッフの竹山瑞生(みずき)さんが、週末は浦川さんの母・聖子さんが店を切り盛りする。自身も手作り作家で、「定年退職したら雑貨店を開きたい」という長年の夢を息子とともに実現させた聖子さん。同店のオープンに合わせ、思い切ってオリジナルブランド「Myaa(ミャー)」を立ち上げた。得意なアイテムはミニサイズの革製アクセサリー。同店で販売している。

 イオン時津店の隣という分かりやすい場所にありながら、「なぜか目立たない」と来店客の間で話題になった同店は7月23日、国道側から見える壁面に案内看板を設置した。浦川さんは「現在地を選んだのは、立地の良さ以外にも特別な理由がある」と打ち明ける。

 「特別支援学校がすぐ近くにある。生徒の保護者には作業所のスタッフと交流がある人もいる。その人たちと一緒にくつろげて、互いの心の支えになれるような場所にしたかった」と浦川さん。予算の都合上、一度は現在地での出店を諦めたという。「後ろ髪を引かれながらも、仕方がないので安い物件をいくつか探した。ところが作業所のスタッフと言い争いになったり、いっそのこと諦めようという意見が出たりして、みんなの気持ちがどうしてもまとまらない。何度も話し合った結果、『自分たちのために空いているとしか思えない場所は、イオンの隣』という意見だけは全員一致した。最後は母とじっくり話し合って決断した」と振り返る。

 商品のセレクトや店内の雰囲気作りは、デザイナーでもある竹山さんが任されている。「竹山さんの若い感性と雑貨への情熱は素晴らしいものがある。今後も福祉作業所の製品の中から、デザイナー感覚で優れたデザインのものをセレクトしてほしい」と浦川さん。特にデザインにこだわった店作りに力を入れる同店。経費節約とデザイン性を兼ねて英字新聞を利用した再生エコバッグを福祉作業所「アトリエらぽ」で製造し、同店の包装用として仕入れている。

 竹山さんは「店は相変わらず目立たないようだが、最近レンタルボックスの予約や問い合わせが増えて、とてもうれしい。現在、英字新聞は図書館から提供を受けているが、もともと量が少ない上、福祉作業所の製造過程でどうしてもロスが出る。不要な英字新聞が手元にある方は、ぜひ助けてほしい」と呼び掛ける。英字新聞を2週間分以上提供した人には、大・中・小から2つのサイズの再生エコバッグを1個ずつ進呈する。

 営業時間は10時~19時。

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