一般社団法人日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)(以下、CVIT)は、9月29日(火)「世界心臓の日」に、日本の急性心筋梗塞における高い救命率を未来へつなぐ社会啓発プロジェクト「KEEP 94 PROJECT(キープ キューフォー プロジェクト)」を始動いたします。
第1弾として、救命の現場に密着したドキュメンタリームービー(ティザー版)と、地域の医療提供体制を知るための「ハートマップ」アップデート版を公開します。さらに、心筋梗塞が疑われる症状が現れた際の初動に関する調査結果を発表し、迷わず119番に通報するための医師監修のチェックリストを公開します。
HP:https://keep94project.jp

日本の急性心筋梗塞の治療後の救命率は、2019年の約94%から2025年には93%に低下
現在、日本の急性心筋梗塞の治療後の救命率は、2019年時点の94%から、2025年には93%へと低下しています。(*)
救命を支える医療現場では、循環器内科医の不足や医療従事者への負担、地域による医療提供体制の差などが課題となっています。急性心筋梗塞では、発症から治療までの時間が救命を左右します。今後、特に地方で病院の統廃合が進み、治療を受けられる施設までの距離が遠くなれば、治療開始までに時間を要することも懸念されます。
これまで救えてきた命を将来も救い続けるためには、医療提供体制の課題を社会全体で捉えるとともに、症状が現れた際に一人ひとりが速やかに行動できることが重要です。
こうした背景から、日本が築いてきた高い救命率を未来へつなぐことを目的に、社会啓発プロジェクト「KEEP 94 PROJECT(キープ キューフォー プロジェクト)」を開始します。
(*)参照:一般社団法人日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)調査「SUMMARY OF J-PCI 2025 J-PCIレジストリー 2025集計結果内『INCREASING MORTALITY AFTER STEMI PCI』」
【「KEEP 94 PROJECT」について】
「KEEP 94 PROJECT(キープ キューフォー プロジェクト)」は、医療現場の課題と急性心筋梗塞に関する正しい知識を社会に広め、救命率94%を未来へつなぐプロジェクトです。
一般的に「医療技術の進歩により死亡率は下がっていく」と思われますが、急性心筋梗塞の死亡率は上昇傾向にあります。まずはこの傾向に歯止めをかけ、救命率をかつての水準である94%に回復させることを目標に掲げました。
「救える命を、未来へ。」をメッセージに、救命を支える医療現場の課題を伝えるとともに、心筋梗塞が疑われる症状が現れた際、一人ひとりがためらわず適切に行動できるよう啓発活動を行います。
医療従事者をはじめ、企業・団体・行政、患者とその家族、一人ひとりの生活者とともに、社会全体で救える命を守っていくことを目指します。
■ロゴデザインについて

プロジェクトロゴは、手とハートをモチーフにしています。
ハートには救える命を、手にはその命を支える一人ひとりの行動を重ねました。心筋梗塞の救命率94%を、医療従事者だけでなく社会全体で守り、未来へつないでいくという思いを込めています。
■「KEEP 94 PROJECT」第1弾の取り組みについて
本プロジェクトでは、救命を支える地域の医療提供体制への理解と、心筋梗塞が疑われる症状が現れた際の速やかな行動を促すため、第1弾として4つの取り組みを公開いたします。
1.地域の救命を支える循環器医師のドキュメンタリームービーの公開
2.治療を担う医療機関を調べられる 「ハートマップ」アップデート版を公開
3.心筋梗塞が疑われる症状が現れた際の初動に関する調査
4.救急車を呼ぶべきか迷わず判断するため、医師監修チェックリスト「こんな症状があれば迷わず119番」を公開
救命の最前線で患者と向き合う医師に密着したドキュメンタリームービーのティザー版を公開します。
今回は、約13万人が暮らす長崎県・島原半島で、この地域で唯一の緊急カテーテル治療医として診療にあたる泉川病院の医師を追いました。
心筋梗塞は、発症から治療までの時間が命を左右します。その一方で、地域の救命を支える専門医は限られています。一人ひとりの患者に向き合う医師の姿を通じて、救える命を守る現場の思いと、地域の循環器医療が抱える課題を伝えます。本動画のロング版は11月の公開を予定しています。
■概要
監督:映像監督 早川千絵
<プロフィール>映画監督・映像監督。長編デビュー作『PLAN 75』は、第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別表彰を受賞するなど、世界各国の映画祭で高い評価を受け、多数の賞を受賞。また、昨年公開された『ルノワール』は、日本作品で唯一、第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品。社会のあり方や生と死といった現代的なテーマを、繊細かつ力強い視点で描く独自の作風で知られる。



■動画URL
https://www.youtube.com/watch?v=jpybcN45hgI
緊急時に心筋梗塞の治療を担う医療機関に関する情報へアクセスできる「ハートマップ」のアップデート版を公開します。
急性心筋梗塞では、発症から治療までの時間が救命を左右するため、できるだけ早く救急搬送され、適切な治療を受けることが重要です。病院到着後は、90分以内に治療を開始することが理想とされています。そのため、いざという時に、どこで治療が受けられるのかをあらかじめ知っておくことも大切です。
本サイトでは、医療施設の所在地に加え、研修施設・研修関連施設、医師会員(CVIT会員)が在籍する施設、認定医や専門医がいる施設の検索ができます。アップデート版のマップでは、2025年に治療を行った施設を収録し、各地域から推定救急搬送時間を表示することが可能になりました。また、日本語がわからない方を対象に、英語版も用意しました。
治療を受けられる医療機関を事前に知っておくことで、発症から治療までの時間短縮につなげるとともに、一人ひとりが自分の命を守るための行動を考えるきっかけとなることを目指します。
さらに、地域の医療提供体制を可視化することで、住民や地域行政の皆様に、地域が抱える医療課題に関心を持っていただくことも目的としています。
URL:https://map.cvit.jp/

心筋梗塞が疑われる症状が現れたとき、生活者は救急車を呼ぶことをどう捉え、最初にどのような行動を取るのか、全国の20歳以上の男女521人を対象に調査しました。
■調査概要
調査名 :心筋梗塞が疑われる症状が現れた際の初動に関する調査
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間: 2026年9月11日~2026年9月15日
調査対象:全国の20歳以上の男女 521人
■調査結果
約6割が歩いたり会話したりできる状態では「救急車を呼ぶことにためらいを感じる」と回答
胸が締めつけられる痛みや、冷や汗がひどくなる症状が続く場合でも、自分で歩いたり会話したりできる状態で救急車を呼ぶことにためらいを感じるかを聞きました。
その結果、「とても感じる」が16.1%、「やや感じる」が41.8%となり、合わせて約58%がためらいを感じると回答しました。
心筋梗塞の可能性を認識していても、最初の行動は「少し様子を見る」が最多
「心筋梗塞の可能性がある」と認識している症状が出た場合に、最初に取る行動を聞いたところ、「横になる・休むなどして少し様子を見る」が22.3%で最多でした。「119番に電話して救急車を呼ぶ」は20.7%で、様子を見る人の割合を下回りました。次いで、「インターネットやSNSで症状について調べる」が9.0%、「家族・知人に相談する」が8.4%となりました。
すぐに救急車を呼ばない理由、最多は「呼ぶべき症状か判断できない」
すぐに救急車を呼ばないと思う理由を調査したところ、「救急車を呼ぶべき症状なのか判断できないから」が33.3%で最多となりました。次いで、「少し休めば治ると思うから」が27.3%、「本当に救急車が必要な人の利用を妨げたくないから」が22.8%でした。また、「救急車を呼んで大げさだと思われたくないから」「症状が一時的なものか確認したいから」も、それぞれ22.3%に上りました。

急性心筋梗塞では、症状が現れてから救急車を呼ぶまでの時間も、救命に左右します。
心筋梗塞が疑われる症状が現れた際の初動に関する調査では、心筋梗塞の可能性を認識していても救急要請をためらう人がいることや、救急車を呼ぶべき症状か判断できない人が多いことが明らかになりました。
そこで、症状が現れたときに救急車を呼ぶべきか迷わず判断できるよう、専門医監修の「救急車を呼ぶタイミングチェックリスト」を公開します。
ご自身だけでなく、家族や知人とも共有していただくことで、いざというときの速やかな119番通報につなげます。
「急性心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈が急に詰まり、心臓の筋肉に血液が届かなくなる病気です。速やかに適切な治療を受けることで、救命の可能性を高められます。一方、救急車を呼ぶまでの遅れや、治療開始までにかかる時間は、命を左右します。
救命を支える現場では、医師不足や地域による医療体制の差が課題となっています。今後、病院の統廃合などによって治療を受けられる施設が遠くなれば、治療開始までにさらに時間を要することも懸念されます。
また、治療を担う医師の育成には長い時間がかかります。経験を積んだ医師の力を生かしながら、若手医師が適切な指導のもとで経験を重ねられる環境を整えていくことも必要です。
これまで救えてきた命を未来も救い続けるには、地域の救命を支える医療体制を維持・充実させるとともに、症状に気づいた人がためらわず119番に通報し、必要な治療へ速やかにつながれる社会にしていくことが欠かせません。医療従事者だけでなく、生活者を含む社会全体で救える命を守っていきたいと考えています。」
心血管疾患患者に対する有効かつ安全なカテーテル治療の開発と発展、及び臨床研究の推進とその成果の普及をもって、診断治療技術の向上と学術文化の発展に資することにより、心血管疾患の予後改善の責務を広く社会に果たすことを目的に設立されました。会員数12,000人を超える、心血管カテーテル治療を代表する団体です。
https://www.cvit.jp/