長崎の雑貨店で「手ぬぐいバッグ」オーダーメードが人気-店主は元「支援員」

店主の堀切康子さんと「手ぬぐいバッグ」

店主の堀切康子さんと「手ぬぐいバッグ」

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 今年5月、長崎・新大工町商店街近くにオープンした雑貨店「ざっかきらく」(長崎市桜馬場1、TEL 090-4350-9887)に「手ぬぐいバック」のオーダーメード注文が相次いでいる。

「この奥10歩」と書かれた立て看板

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 店主の堀切康子さんは雲仙市国見町出身。高校卒業まで地元で過ごしたが、活水女子短大(東山手町)に進学した後は結婚して子どもを持つ現在まで長崎市内で暮らしている。今年3月までは「支援員」として市内の小学校に勤務していた。

 ある日、1冊の本に出合ったことで堀切さんの人生は大きく変わる。「本のタイトルは『こんなにかわいい雑貨本』。福祉施設の人が作る雑貨が特集されている本で、紹介されている商品がすてきだった。時間を忘れて夢中で読みふけった」と振り返る。堀切さんに芽生えた「オーダーメードの雑貨店を作りたい」という夢は少しずつ形になっていく。

 開店に向けて歩み始め、さまざまなハプニングに遭遇しながらも何とか店舗を借りることができた。しかし店を告知する方法が全く分からない堀切さん。困っているところに協力者が現れた。昔からの友人でもあるデザイナーが店のロゴを作ってくれるという。

 夫婦で完成させたインディアン人形のロゴを友人に見せられた瞬間、思わず泣きそうになった。「インディアンの生活はオールハンドメードだから」と友人はにっこり笑って説明した。さらに「目立たないことを逆手に取って目立たせてやる!」と豪語する友人。用意された「武器」は小さな「立て看板」。大人の膝元ほどしかない小さな看板は先月さらに改良され、小さな文字で「この奥10歩」と書き加えられた。入り口が目立たない場所にある同店は「小さな立て看板」に大きく助けられているという。

 堀切さんは「この『10歩』という言葉が面白いようだ。看板が小さくて大人は見過ごしても子どもは見逃さない。遊びに来る子どもたちから『13歩だったよ』と訂正され、いろいろなところで話のネタになっているようだ。目立たないことが最大の悩みだったので本当にうれしい」とほほ笑む。

 「プラバン」「ポストカード」「帽子」「子ども服」「バッグ」など小さな店内には福祉施設の商品をはじめハンドメード商品がずらり。ある県外の福祉施設の商品は長崎市内では同店しか取り扱っていない。「特にガラス製のヘアゴムやヘアピンが人気。300円くらいなので小さな子どもへのプレゼントに買う人が多い」と堀切さん。「私がハンドメードにこだわるのは、機械ではなく人がそこにいるから。商品が売れることで、福祉施設で作っている人にもそうではない人にも少しでも生活に役立てば」と力を込める。

 「店内の商品は全てハンドメードで作家さんは11人。展示している商品のほとんどは作家さんが好みに応じて作り変えてくれる。中でも人気があるのは、お客さまがお気に入りの手ぬぐいを持ち込んでリフォームしてもらう『手ぬぐいバッグ』。ここで作った人のバッグを見て注文をいただいたり、口コミが広がったりしているようだ」とも。

 堀切さんは「長崎くんちで配られる手ぬぐいを持ち込む人が多い。裏布を打つので手ぬぐいバッグとはいえ耐久性がある。手ぬぐいを縦にしてもいいし、横にしてもいい。持ち手は好きなものが選べるし、ショルダーバッグにすることもできる。お客さまは作家さんと相談しながら理想のバッグが出来上がるのを待つのが楽しいようだ」と説明する。

 料金は持ち手がテープ製の場合、手さげタイプは2,000円~(ショルダータイプは3,000円~)。「とも布持ち手」「ポケット付き」「ボタン付き」「裏布持ち込み」など、条件により料金はそれぞれ異なる。ベースとなる手ぬぐいは注文者が持ち込むため料金には含まれていない。

 「気づいたら大好きなことをやっていた。先日の大雨で『今日は誰も来ないだろう』と思っていたのに雨がやんだ途端に次々に来てくれた。こんなに目立たない場所なのに本当にありがたい」と頭を下げる堀切さん。「子育て中なので土曜日だけは不定休。気になる商品の実物を見に来てもらうだけで大歓迎なので、『きらく』に立ち寄ってほしい」と笑顔を見せる。

 営業時間は10時~16時30分。日曜祝日定休。開店スケジュールは同店フェイスブックページで確認できる。

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