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長崎の老舗菓子店とカフェレストランが「出島珈琲カステラ」披露会-ゆかりの古版画も

披露会で古版画を説明する野田信治社長(左)と森淳社長(右)

披露会で古版画を説明する野田信治社長(左)と森淳社長(右)

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 菓秀苑森長(諫早市、以下、森長)と「Attic coffee and dining」(長崎市出島町、以下、アティック)が10月28日、新商品「出島珈琲カステラ」を共同開発し、カフェレストラン「アティック」(出島町)で発売記念披露会を開いた。

出島珈琲カステラ

 森長(もりちょう)は江戸時代中期、伊能忠敬が全国測量を始める7年前の1793年に「おこし」の製造販売で創業。伝統菓子を作り続けると同時に新しいスイーツの自社開発や他社とのコラボに積極的に取り組む同社のテーマは「伝統は革新の連続」。2009年11月に発売した「半熟生カステラ」は販売累計15万個。2012年11月発売の「カステラざんまい」は2年間で20万個以上を売り上げた。

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 アティックは2002年7月にオープン。坂本龍馬の顔を模した「龍馬カプチーノ」を提供する店として観光客に広く知られている。運営会社は「カフェ」「イタリアン」「とんかつ」「ケータリング」のカテゴリーで長崎を中心にアジア各地に6店舗を出店する。野田信治社長は昨年までオーナーバリスタとして「ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)」などに参戦。現在はJBCのテクニカルジャッジ(審査員)として後進を育成している。

 披露会にはアティックの常連客や報道関係者などを中心に30人ほどが参加。参加者には新商品の試食と実際に練り込まれている「スペシャルティコーヒー」と同じ豆で入れたコーヒーが振る舞われた。

 野田社長は冒頭、「無着色、無添加のカステラにコーヒー豆をパウダー状にしたものを練り込んで作り上げた。コーヒー風味とコーヒー味の違いをぜひ味わってほしい」とあいさつ。試食をほおばる参加者からは「本当だ」との声も聞かれた。野田さんは森長との共同開発が決まった今年8月後半から毎週同社の工場に通いつめ、10回以上にわたり「ああでもない、こうでもない」と試作を重ねたという。

 「今年2月に完成した『ゆうこうマドレーヌ』の開発で、新しいスイーツ開発に挑戦する苦労は本当にいやというほど味わった。しかし、そのベースがあったから今回は比較的早く満足するものができたと思う」と振り返る。微妙な味の調整など、菓子作りで最も苦労を強いられる部分についても、「菓子作りがこんなに楽しいというのを初めて味わった。毎回わくわくしながら工場を訪れた」と笑顔を見せる野田さん。長年鍛えたバリスタの目でコーヒー豆を厳選。豆をひいてから10分ほどでダメになるという信念を持ち、酸化を防ぐために焙煎(ばいせん)後3日以内に豆をひき、即座に真空パックして即日工場に運んでカステラに練り込むという「鮮度」にこだわった。

 パッケージの包装紙は江戸時代の出島の様子を描いた「出島阿蘭陀屋舗景」。1965(昭和40)年、野田さんの父・信行さんが解体中の古民家の屋根裏で江戸時代の版木を発見した。版木には寛永18年(1641年)の表記がある。信行さんらは摺(す)り師を呼んで和紙に版木を転写。14枚目を転写する途中で版木が破損したため、直接転写された和紙は13枚しか存在しない。修復された版木と13枚のうちの1枚は長崎歴史文化博物館(立山1)に所蔵されている。パッケージの版画は、和紙の1枚をデジタルスキャンしたものを使用している。

 森長の森淳社長は佐賀県有田町出身。家族や親戚には教員が多く、自身も1999(平成11)年に森家の婿養子になるまでは、同町で学習塾を開いていたという。「結婚するまでは、まさか老舗の菓子店を自分が継ぐなんて思いもしなかった。ただがむしゃらに走ってきたが、新しい菓子作りに挑戦するのは面白い」と話す。2009年11月、「生キャラメル」などがヒットしていた当時の世相に合わせ、「今度の生はカステラです」のキャッチフレーズで「生カステラ」を発売。卵をふんだんに使い、賞味期限がわずかしかないというコンセプトが受け、発売初日からネット販売だけで毎日400件以上を受注。生産が追いつかず客は1カ月半以上待たされるという事態に陥ったという。その後、冷凍パックにすることで賞味期限の問題を解決し量産体制も整えた。現在でも同社の人気商品として売れている(現在の商品名は半熟生カステラ)。

 森社長は「他県の人からは『もりなが』と呼ばれることが多い。出島珈琲カステラが広まることで『もりちょう』と全国の人たちに呼んでもらえるようになれば」と参加者らに訴えた。野田さんは「長崎には有名でおいしい老舗カステラ屋さんはたくさんある。出島は日本のコーヒー発祥の地であり、ここは出島1番1号。出島珈琲カステラは、アティックというよりも『出島』にこだわり抜いた一角で勝負したい」と力を込める。

 森さんと野田さんは「どうか出島珈琲カステラを、これから皆さんの手で温めてほしい」と声をそろえて締めくくった。

 価格は、190グラムサイズ(5枚入り)=777円(送料別)。森長本店、同アミュプラザ店、アティックのほか、ネット販売、11月からは長崎空港売店でも販売する。 

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