長崎県ビジネスプランコンテスト、最優秀賞は「五島をプロが認めるスポーツ島に」

左から佐々田つよしさん、才津香澄さん、加藤次長、井上智子さん

左から佐々田つよしさん、才津香澄さん、加藤次長、井上智子さん

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 長崎県庁(長崎市江戸町)で3月18日、平成26年度・長崎県ビジネスプランコンテストの表彰式が行われた。

マジックを披露する佐々田さん

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 同コンテストは長崎県内に拠点を置く個人や法人が、2013(平成25)年4月1日以降に開始したビジネスプランまたは2016年3月末日までに開始予定のビジネスプランを対象に、新規性や実現可能性を審査する。近い将来、雇用が見込まれるビジネスプランなど優秀なプランを表彰することで、県内の創業を促進することが目的。2013年から年1回開催されており、今年で3回目となる。

 応募された17点のビジネスプランを審査した結果、最優秀賞(副賞=30万円)は五島市でスポーツ鍼灸(しんきゅう)マッサージ院を運営し、市役所との連携で実業団チームの合宿を誘致する才津香澄さんが、優秀賞(同10万円)は長崎市でビワの種を使った蒸留水「シーボルトウォーター」を開発し、起業を目指す井上智子さんが、それぞれ受賞した。表彰式には才津さんと井上さんのほか、「マジックマナー教室」のビジネスプランで十八銀行賞(同5万円)を受賞したプロマジシャンの佐々田つよしさんが出席。所用のため表彰式を欠席した梅木尚美さんは、五島初のフリーペーパーを発行したビジネスプランで親和銀行賞を受賞している。

 表彰状と副賞の授与を終えた加藤純・県産業労働部次長は、「応募17件中、半分は女性。全国的な傾向だが女性の起業が生き方の選択肢として大きな位置を占めている。今後、ビジネスに磨きをかけ、後進の人たちにも教えてほしい。これからも可能な支援をしていきたい」とあいさつ。受賞者を代表して才津さんがあいさつに立ち、「最初は漠然だったが応募することでだんだん具体性が深まった。五島には若い人が少ないので、地域振興のためにも多くの人に意欲を持ってチャレンジしてもらいたい」と応えた。

 表彰式後は加藤次長ら県職員と受賞者との懇談会が開かれた。井上さんが「ちょっと匂いを楽しんでください」と、職員らの手に蒸留水をふりかけると、「本当にいい匂いがする」と笑顔を見せる県職員たち。佐々田さんが「せっかくだからちょっとだけマジックを披露しましょう」と立ち上がり、加藤次長の手にコイン数枚を乗せた。「よく見ていてください」と加藤次長の手を揺らすと全員が見守る目の前で1枚だけ残してコインが消滅。「えええ!」と全員が驚きの声を上げた後、しきりに残ったコインを確かめていた。

 最優秀賞を受賞した才津さんは1989(平成元)年生まれの25歳。兵庫県明石市で育ち、中学生時代には水泳部で活躍した。ところが突然、特定疾患にも指定されている突発性難聴を発症。原因不明で耳が突然聞こえなくなり、絶望の淵に立たされた才津さんを救ったのは針治療だった。「すごく不思議な体験だった。完治した理由がどうしても知りたくて、別に治療師になりたかったわけではないが、高校を卒業してから専門学校で学んだ」という。鍼灸マッサージ師の資格を取った才津さんは大阪の治療院で3年間働いた後、2013年10月に父親の故郷・五島市に移住。1カ月後に「香澄はりきゅうマッサージ院」(五島市)を開業した。

 「リフレッシュ休暇で五島に遊びに行った時、五島には女性の鍼灸師やマッサージ指圧師がいないと知った。私が活躍する場所は都会よりもここだと直感した」と才津さん。ほかの家族からは「なんであんたが五島に行くの」と不思議がられたという。

 「マラソンなどの実業団チームは合宿中にトレーナーを数回呼んでマッサージすることはあるが、なかなか常駐させることはできない。私が女性だから女子選手に抵抗がないことも、市役所との連携で実業団合宿誘致ができた要因だと思う。いつの日か『マラソン合宿は五島』が当たり前になるよう頑張りたい」と笑顔を見せた。

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